助詞一覧!格助詞・接続助詞・副助詞・終助詞など日本語における種類や助動詞との違いを紹介

助詞一覧!格助詞・接続助詞・副助詞・終助詞など日本語における種類や助動詞との違いを紹介

文の構造を決める上で、重要な品詞が「助詞」です。黒子のような存在でありながら、正しく使わないと、文章のわかりやすさを損なうものといってもいいでしょう。日本語における助詞の種類や特徴を紹介します。

助詞とは?日本語における特徴や役割、助動詞との違いを確認

助詞の使い方

助詞とは、品詞の一つで、前後の文や単語の関係を表したり、文全体に意味を加えたりする単語です。「付属語」で、活用(あとに続く言葉や文中での働きで語形が変化すること)がないのが特徴といえます。

なお付属語とは、単独では意味を示せない・文節を作れない語句で、前にくる「自立語」(動詞・形容詞・形容動詞・名詞・連体詞・副詞・接続詞・感動詞)と合わせて使う言葉です。

助詞と助動詞の違いは「活用の有無」(助詞と助動詞の見分け方)

付属語には、助詞と助動詞があります。二つの区別の仕方を知りたい人もいるでしょう。活用がない方…つまり形の変わらない方が助詞です(活用があり、形が変わる方が助動詞)。

助詞と助動詞の見分け方を、例文を使って具体的に示してみましょう。

彼は努力家だ。

まずは、文節を区切ります。文節とは、意味が通じる範囲で分割した文の最小単位のことです。「ね」・「さ」・「よ」などを間に入れても意味が通じるように区切れるひとまとまりと学校で習った人も多いのではないでしょうか。下では「ね」を入れて文節を分けてみました。

彼は(ね) 努力家だ(ね)。

つづいて単語に分けてみましょう。単語は、文節を構成する「言葉の最小単位」です。スラッシュ(/)で単語を分けてみます。

彼/は 努力家/だ 

単語まで分けられたら、自立語か付属語かを考えてみましょう。

彼・努力家:単独で意味を示せる・文節を作れる→自立語
は・だ:単独で意味を示せない・文節を作れない→付属語→助詞or助動詞

単独で意味が示せる・文節を作れるのは、「彼」と「努力家」で、二つは自立語です。二つとも名詞(用言)なので、わかりやすかったかもしれません。

残った「は」と「だ」は、単独では意味を示せない・文節を作れないので助詞か助動詞だと考えられます。活用があるか・ないかを、次は確認してみましょう。

だ:活用あり(活用によって形が変えられる)→助動詞 
は:活用なし(活用によって形が変えられない)→助詞

※「だ」の活用は、下の表を参照

未然形だろ彼は努力家だろう。
連用形だっ・で彼は努力家だった。彼は努力家ある。
終止形彼は努力家
連体形(な)彼は努力家ので…
仮定形なら彼は努力家なら(ば)…
命令形

以上より、「だ」は活用があるので「助動詞」、「は」は活用がないので「助詞」と見分けられました。このような流れで助詞と助動詞は区別しましょう。

助詞の一覧表!表記別で確認!

基本がわかったところで、どのような助詞があるのかを確認してみましょう。まずは、「表記」(助詞各々)を軸にした一覧表をまとめてみました。

助詞種類働き例文
終助詞疑問・質問何時です
反語 (「決して〇〇ではない」の意味)なぜあなたを忘れよう
勧誘・依頼出ましょう
感動やはり違いました
問い詰めなぜできないんです
副助詞不確実どこにしまったんだが。
並立いい悪いよくわからない。
格助詞主語友達帰宅した。
連用修飾語寿司食べたい。 (対象)
接続助詞仮定の逆接失敗しよう、関係ない。
確定の逆接薄着をした、まだ寒い。
単純接続(前置きなど)恐縮です、よろしくお願いします。
対比・対立頭もいいが、顔もいい。
かしら終助詞軽い疑問これは何かしら
軽い願望お願いできないかしら
感動なんておいしいのかしら
から格助詞連用修飾語お店から出る。 (起点)
大豆からできた。 (原料・材料)
冷えからくる病。 (原因・理由)
接続助詞確定の順接(原因・理由)疲れたから、寝よう。
きり・ぎり副助詞限定昨年食事をしたきりだ。
くらい・ぐらい副助詞おおよその程度一週間くらい欲しい。
おおよその限度返事ぐらいしてよ。
けれど・けれども接続助詞確定の逆接米を研いだけれども、炊かなかった。
単純接続(前置きなど)前にも言ったけれど、僕は嫌いだ。
対比・対立彼は金持ちだけれど、私も負けてない。
こそ副助詞強調今回こそ勝つ。
終助詞軽い断定失敗しても平気
軽い質問いつ来たの
さえ副助詞添加 (「そのうえ」を文に補える)さえ鳴り出した。
限定 (「だけ」にいい換えられる)さえあえば生きていける。
ほかの類推 (「でも」にいい換えられる)子どもにさえわかる。
接続助詞並立仕事もする、遊びもする。
しか副助詞限定しかいわない。
ずつ副助詞等しい割合一人3枚ずつ
すら副助詞ほかの類推土日休みすらない。
終助詞強調よし、行く
だけ副助詞限定君にだけ教えるね。
程度あれだけいったのに。
たり接続助詞並立肉を食べたり、魚を食べたりする。
例示映画を見たりして過ごす。
つつ接続助詞確定の逆接見ないと思いつつ、見る。
動作の並行電話しつつ、勉強する。
て・で接続助詞確定の順接 (原因・理由)うるさく、邪魔だ。
確定の逆接方法を聞い、やらない。
単純接続会っ、謝る。
並立お金持ち、かっこいい。
補助きれいな花が咲いいる。
格助詞連用修飾語練習する。 (場所)
22時閉店する。 (時限)
チャリ来た。 (手段・材料)
風邪休む。 (原因・理由)
ても・でも接続助詞仮定の逆接100人乗っても、大丈夫。
確定の逆接呼んでも、来ない。
でも副助詞ほかの類推 (「だって」にいい換えられる)誰でもわかる。
例示 (「など」「くらい」にいい換えられる)お茶でもどうですか?
格助詞連用修飾語遊ぶ。 (共同の相手)
フリーランスなった。 (結果)
恩師会う。 (対象)
違う。 (比較)
日本は狭い書いてあった。 (引用)
並立仕事家事の両立。
接続助詞仮定の順接儲かる、みんなやる。
確定の順接小声でいう、聞こえにくい。
仮定の逆接失敗しよう、関係ない。
単純接続(前置きなど)本音をいう、怖かった。
とか副助詞不確実日本株が上がるとか聞いた。
並立こことかあそことかがいい。
ところで接続助詞仮定の逆接教えたところで、身につかない。
とも接続助詞仮定の逆接裏切られようとも、大したことはない。
終助詞強調・確信勝てるとも
終助詞禁止無理をする
命令たくさん食べ
な・なぁ終助詞感動すごい技だ
願望遊びに行きたい
念押し異論はない
ながら接続助詞確定の逆接聞いておきながら、やらない。
動作の並行電話しながら、勉強する。
など副助詞例示冷蔵庫や洗濯機などが欲しい。
強調 (否定の意味の言葉が後に続く)脱税などしていません。
なり副助詞直後の動作帰るなり寝た。
例示上着なり着てください。
並立煮るなり焼くなりしろ。
格助詞連用修飾語9時起きる。 (時間)
現地集まる。 (場所)
ゴール到着する。 (帰着点)
部下任せる。 (動作の相手)
飲み行く。 (動作の目的)
苦さ悶絶する。 (原因・理由)
比べて低い。 (比較の基準)
並ぶ。 (状態)
失敗終わる。 (結果)
並立仕事充実している。
ね・ねぇ終助詞感動きれいな星だ
念押し必ず勝って
問いかけ元気か
語調を整える今日、こんなことがあったんだ。
格助詞連体修飾語会社備品。 (所属)
都会生活。 (場所)
12月半ば。 (時)
雨模様空。 (状態)
並立やるやらないと迫られる。
部分の主語たんぽぽ咲く季節が来た。
体言の代用走るが好き。
終助詞質問これ、どうやる
軽い断定ここは静かな
軽い命令図書館では静かにする
ので接続助詞確定の順接 (原因・理由)早起きしたので、余裕が持てた。
のに接続助詞確定の逆接知らないのに、知ったかぶりをする。
終助詞強調喜んでほしかったのに
副助詞ほかとの区別カレー好きだ。
主題の提示失敗成功のもと。
反復食って寝る。
強調嫌いでない。
接続助詞仮定の順接儲かれ、みんなやる。
確定の順接朝になれ、電車が動き出す。
並立勝ちもすれ、負けもする。※「〜ば、〜も」の形が基本
ばかり副助詞限定遊んでばかりいる。
完了直後終わったばかりだ。
おおよその程度1kmばかり歩く。
格助詞連用修飾語向かう。 (方向)
学校行く。 (帰着点)
家族電話をかける。 (対象)
ほど副助詞おおよその程度一週間ほど不在にする。
比較の基準ほどつらくない。
程度の比例がんばればがんばるほど結果が出る。
まで副助詞程度・限定練習の成果を出すまでだ。
添加まで降り始めた。
動作・作用の終点ゴールまで走りきった。
ほかの類推老人にまで知られている。
副助詞強調何回試す。
並立子ども大人一緒にいる。
添加上着着る。
おおよその程度一週間あれば十分。
ほかの暗示計算得意。
ものの接続助詞確定の逆接走ったものの、乗り遅れた。
格助詞並立大阪京都を回る。
終助詞呼びかけポチ、おいで。
感動これはすごい
勧誘ゆっくり行こう
やら副助詞不確実やら来たかしら。
並立やらやらを焼いた。
終助詞念押し期限は明日中だ
勧誘早くやろう
命令さっさとやれ
呼びかけ少年、大志を抱け。
感動なんと美しいこと
より格助詞連用修飾語より団子。 (比較)
東京駅より出発する。 (起点)
謝るよりほかない。 (限定)
終助詞感動きれいだ
軽い主張相談してみる
格助詞連用修飾語ジュース買った。 (対象)
またぐ。 (場所)
大学卒業する。 (起点)
見る。 (方向)

参考:『チャート式®シリーズ 中学国語 文法・漢字・古典・読解』(数研出版)

助詞の働きを、種類ごとに確認しよう

助詞の使い方

つづいて、「種類」を軸にして助詞を分類・考察してみましょう。ここでは、実用面で理解したい以下の4種類に絞って考察します。

格助詞名詞・代名詞・数詞など体言の後に付き、続く文節との関係を表す。
接続助詞「活用語」(用言および助動詞)の後ろに付いて、前後の文節をつなぐ。
副助詞特定の品詞に限らずいろいろな語に意味を付け足す。
終助詞文末に付いて、情報伝達の態度やさまざまな意味を表す。

ほかにも細かい分類(並列助詞・係助詞・間投助詞・準体助詞)をする場合もあります。そちらは後述するQ&Aのところを参考にしてみてください。

助詞の種類【1】格助詞

名詞・代名詞・数詞など体言の後ろに付き、あとに続く文節との関係を示す言葉です。

働き格助詞例文
動作主(いわゆる主語)を示すが・の来た。
連体修飾語を示す仕事用写真。
連用修飾語を示すを・に・へ・と・より・から・でネット記事読む。
並立の関係を示すの・に・と・や僕。

使い方は一般的に下記の四つに分けられます。

■動作主(いわゆる主語)「が」・「の」

助詞の中でも「が」・「の」には、文の動作主(いわゆる主語)や主題を示す働きがあります。

来た。
降るころだ。

「雪の降るころだ」の「の」は、「雪が降るころだ」と「が」に置き換えられます。そのため「が」と同様に、「の」も動作主(いわゆる主語)や主題を示す助詞と考えられるのです。

■連体修飾語「の」

あとに続く体言(名詞)を修飾する連体修飾語であることを示す働きがあります。

日本語勉強

上の文では、「の」がすぐ後ろにある体言「勉強」を「日本語の」が修飾しています。何の「勉強」なのかを示す働きを果たしているのが解釈できるのではないでしょうか。

■連用修飾語「を」・「に」・「へ」・「と」・「より」・「から」・「で」

用言(動詞・形容詞・形容動詞)を修飾する連用修飾語を作る働きがあります。

日本語勉強する。
ライターなる。

「を」・「に」が、すぐ後ろの用言「勉強する」および「なる」を修飾し、何を「勉強する」のか・何に「なる」のかを示しているのがわかるでしょうか。「へ」・「より」・「から」・「で」の例も確認してみましょう。

本屋向かう。
読書よりライティングの方が好きだ。
彼との関係は、異業種交流会での名刺交換から始まった。
カフェ仕事をする。

各助詞の後ろにある用言に対し、場所・目的・比較対象などの意味を補足している点を確認してみてください。

■並立「の」・「に」・「と」・「や」

「と」や「や」などの助詞は、前後の単語が意味的・文法的に対等で並べられていることを表します。

新聞雑誌がオンラインで読める。
新聞雑誌を読む。

「雑誌」と「新聞」の順序を入れ替えても、それぞれの関係は変わらずに対等なのがわかります。並立の格助詞「の」は、たとえば以下のように使われます。

辞める、辞めないと結論を追求する。

上の例文も、「めないの、めるのと結論を追求する」と順序を入れ替えても並立の関係は変わりません。

以上が、格助詞の“一般的”な四つの分類です。

■補足:格助詞の覚え方

上に書いた10個が格助詞の代表例です(「や」を含まない場合もあります)。学校の国語の授業では、語呂合わせで格助詞を暗記する方法が教えられています。いくつか例をまとめました。参考にしてみてください。

を・に・が・と・より・で・から・の・へ・や 「鬼が戸より出、カラ(空)の部屋」
を・に・より・と・の・が・へ・や・から・で 「鬼より殿が部屋から出」
と・の・より・の・へ・や・から・を・に・が・で 「殿寄りの部屋から鬼が出」
や・から・の・を・に・と・より・へ・が・で 「やからの鬼 戸より屁が出」

※「や」を含まない場合
を・に・の・へ・が・と・から・で・より 「鬼の屁が戸から出より」

■補足:「の」の解釈

テキストや学派によって「の」の解釈が異なっている点を補足します。たとえば「体言の代用をする格助詞」と呼ばれる五つ目の分類を推す意見があります。「書く“の”を辞める」や「私が欲しい“の”はあなた」の「の」など、「こと」や「もの」で置き換えられる「の」のことです。

また、「の」をそもそも格助詞としないとする意見もあります。発信者によって棲み分けの仕方に諸説あるため、テキストをお持ちの人はぜひ調べてご自身でも研究してみてください。

助詞の種類【2】接続助詞

「活用語」(用言および助動詞)の後ろに付いて、前後の文節をつなぐ助詞です。

働き接続助詞例文
仮定の順接仮定の事柄に対し、当然予想される順当な事柄があとに続くことを表す。ば・と雨が降れ、キャンプは中止だ。
仮定の逆接仮定の事柄に対し、予想されることと逆の事柄があとに続くことを表す。と・ても(でも)・とも・ところで・が雨が降っても、キャンプに行く。
確定の順接事実や確実な事柄に対し、当然予想される順当な事柄があとに続くことを表す。ば・と・ので・から・て(で)暑いから、上着を脱いだ。
確定の逆接事実や確実な事柄に対し、予想されることと逆の事柄があとに続くことを表す。ても(でも)・けれど(けれども)・ものの・が・のに・て(で)・ながら・つつ暑いけれど、上着を脱がない。
並立の関係前後の文節が意味的・文法的に対等で並べられていることを表す。ば・て(で)・し・たり(だり)兄は聡明だ、堅実だ。
単純な接続前の事柄が、あとの事柄の前置きなどであることを表す。と・けれど(けれども)・が・て(で)次のキャンプだ、彼女も来られることになった。
補助の関係あとの文節が前の文節に補助的な意味を添えていることを表す。て(で)試しに呼んみる。

仕事の場面では、ここまで細かく理解・使い分ける必要はないかもしれません。実用面で理解したいポイント三つを見ていきましょう。

■順接

順接の接続助詞には、前にある文節の流れのままで、順当な事柄を表す文節が続くことを示す働きがあります。

コンセントがなけれ充電ができない。
コンセントがないので充電ができない。

例文の共通点は、接続助詞「ば」と「ので」により、「コンセントがない(なかった)」だけで文を終わっていないことです。あとに続く「充電ができない(なかった)」へ、つなげる役割を果たしているのが確認できます。

■逆接

逆接の接続助詞は、前にあるのとは異なる・順当ではない事柄の文節が続くことを示します。

雨は降らないと彼はいった、午後から雨は降った。
雨が降ったけれど、降ってないと彼はいい張っている。

一覧表にもあったとおり、順接や並立の場合にも逆接の接続助詞を使えるケースはあります。しかし、接続助詞の前後で反対(矛盾・対立)の内容が入っていない場合、逆接の接続助詞を使わない(順接の接続助詞を使う)方が望ましいとされています。

なぜかというと、逆接の表現があると「ここまでの流れとは反する記述が登場する」と読者に予測させやすいからです。「筆者の言いたいことは逆接の後に書いている」と、“目印”にするように国語の授業でいわれて、意識的に見る癖が付いている人もいるのではないでしょうか。

それぐらい逆接(の接続助詞)には強い作用があるため、注意して使わなければなりません。逆接の接続助詞があったのに、順接や並立の文が続くと、予想と反することになります。そのため誤解につながりかねないのです。

逆接の接続助詞を書きたくなったら、接続詞「しかし」でつないでみて違和感がないかを確認してみるのをおすすめします。違和感がない場合のみに限って使うとよいでしょう。

■並立

意味的・文法的に対等な文節が前後に並ぶことを示す働きが並立の接続助詞にはあります。

キャンプも行った、サウナも行った。
料理をしながら動画を観る。
笑ったり泣いたりと忙しい人だ。
このあとは打ち上げです、出席しますか。

上の最後にある「が」の例文こそ、逆接のところで注意喚起した“非逆接的“な(つまり並列の)使い方です。

「が」や「けれど(けれども)」は、先に紹介した逆接の印象が強い接続助詞(逆接を連想させやすい)といわれます。そのため、「が」や「けれど(けれども)」にも並立の役割はありはするものの、ほかの並立の助詞で書き換えた方が意図を的確に伝えていいでしょう。

また、最後の例文にあるとおり、並立の「たり」は二回以上使うのが文法的に正しいです。逆にいえば一回だけ使うのは文法的に正しくないとされてきました。

しかし最近は、一回しか書かれていない場合も許容されつつあります。Wordの校正機能でも指摘が入るほどの基本事項なので、基本を押さえつつメディアやクライアントの意見も聞いて推敲できるとよいでしょう。

助詞の種類【3】副助詞

特定の品詞に限らず、いろいろな語に意味を付け足すのが副助詞です。

意味副助詞例文
強調は・も・こそ・など今日こそ勝つ。
並立も・なり・やら・か・とかうまくないしまずくない。
添加も・され・までおまけもらえた。
おおよその程度も・ばかり・ほど・くらい(ぐらい)一週間ほどかかる。
ほかを類推させるすら・さえ・でも・まで電話したことすらない。
限定さえ・まで・しか・だけ・きり(ぎり)・ばかり寝てばかりいる。
例示でも・など・なり手や足などが腫れた。
不確実やら・か・とかやら不穏な気配がする。

一覧表を見てもらえばわかるとおり、副助詞は種類が豊富です。上に書いた以外にもまだまだあります。

しかも、参考書『チャート式®シリーズ 中学国語 文法・漢字・古典・読解』(数研出版)にならって今回はひとくくりにして(中学生の学習範囲に留めて)いるものの中には、もっと細かい意味で区分けができるものもあるほどです。実用面で重要な「は」・「こそ」・「も」・「さえ」の使い方を今回は紹介します。

 ■副助詞「は」の三つの意味

副助詞「は」には、「区別」・「強調」・「繰り返し」の三つの意味があります。

キャンプ好きだ。 (区別)

「キャンプは」の「は」は、キャンプ以外と区別する意味があります。たとえば「サウナは嫌いだが、キャンプは好きだ」とするとわかりやすいでしょう。

キャンプ好きと思えない。 (強調)

副助詞「は」を入れると、「キャンプ好きと思えない」よりも、「キャンプ好き」を強く否定している(「キャンプ好きと」を強調している)ように感じられるのではないでしょうか。

もう酒は飲まないといって飲んでいる。 (繰り返し)

繰り返している(「酒は飲まない」と“何度も”いっている)との意味を付け足しているのを確認してみてください。

■副助詞「こそ」

「こそ」は、より限定的な強調の意味をあらわす副助詞です。「は」の強調と比較しながら見てみましょう。

キャンプこそアウトドアだ。

「キャンプは(が)アウトドアだ」としても強調の意味は伝えられるものの、「こそ」の方が主張が強く伝えられているのではないでしょうか。

■副助詞「も」の三つの意味

副助詞「も」は、「同類」・「強調」・「並立」の三つの意味を付加します。

料理得意だ。 (同類)

「料理以外にも得意なものがある」という意味を付け足しているのが読み取れます。

夕食ができるまで2時間かかった。 (強調)

「夕食ができるまで2時間かかった」よりも、2時間を強調して長く感じさせる効果が出ています。

キャンプ料理好きだ。 (並立)

どちらも同じくらい好きだという意味を加えているのが確認できるでしょうか。

助詞の種類【4】終助詞

文末に付いて、情報伝達の態度やさまざまな意味を表す役割が終助詞にはあります。

意味終助詞例文
疑問・質問か・かしら・の・さ・ね家はどこです
反語貯金を使い果たしてもいいのだろう
勧誘か・や・よ食事に行こう
感動か・かしら・ね(ねえ)・な(なあ)・わ・や・よ夜景がきれいだなあ
断定の・さ簡単なこと
命令・禁止の・よ・な危ないから近づく
念押しね(ねえ)・な(なあ)・よ資料を作っておいて
呼びかけや・よ少年、大志を抱け。
強調ぞ・とも・のに雪が降ってきた

■疑問・質問と反語の使い分け

終助詞でとくに注意したいのが、疑問・質問と反語の使い分けです。

元気です
正しい
どこに行こう
食べていいかしら

疑問・質問の例文を上に書いてみました。あとに「?」が付くとわかりやすいかもしれません。

下が反語の例文です。

休んでばかりでよいのだろう

疑問・質問と同じ形をとってはいるものの、疑問文ではありません。主張したい内容と反対の意味を強く示すための表現技法です。

疑問文では直後にその答えが書かれます。しかし、反語の場合は書かれません。「いや、よくない」とあとに続けるとわかりやすくはなるものの、そもそも反語表現をした意味がなくなってしまいます。最初から、「休んでばかりではよくない」と書いた方が親切です。反語をあえて使う意図を考えながら書いていくようにしましょう。

助詞に関するQ&A

助詞についてまだまだ疑問点があるかもしれません。記事の流れで説明しきれなかった点をQ&Aでまとめました。参考にしてみてください。

【Q1】接続詞と接続助詞の違いは?

接続詞と接続助詞の違いは、単独で文節を作れるか否かで考えられます。

紹介したとおり助詞は、付属語であって単独では文節を作れないものです。接続助詞も該当します。反対に接続詞は、単体で文節を作れます。その点に着目して区別するのがわかりやすいでしょう。

おなかが減ったのでカレーを食べた。
おなかが減った。だからカレーを食べた。

文節を区切ってみましょう。

おなかが/減ったので/カレーを/食べた。
おなかが/減った。/だから/カレーを/食べた。

上側の例文を見てください。「ので」は「減った」とつながらないと文節を作れていません。下側の例文では、「だから」だけで文節が作れています。よって「ので」は接続助詞、「だから」は接続助詞と区別できました。

【Q2】実用的な4つの助詞以外の助詞の意味と例は?

さきほど紹介した4つ以外にも「〇〇助詞」はあります。参考までにまとめてみました。

種類意味・役割助詞例文補足
並列助詞複数の語を対等な関係性で結ぶ。か・し・だの・と・とか・なり・に・も・や・やら煮るなり焼くなり好きにしろ。
夕食は、カレー唐揚げピザだ。
格助詞・副助詞・接続助詞・係助詞から多くが転用されたものである。
係助詞述語とその主(いわゆる主語)の関係性を示す・強調する。こそ・しか・だって・でも・は・ほか・もこそスターだ。
もう試すほかない。
副助詞に含めて語られる場合がある。
間投助詞文中や文末の語に付いて、語調を整えたり、意味を添えたりする。さ・な・なぁ・ね・ねぇ・や・よ・をだよ、君。
彼はすごいねぇ
終助詞や感動助詞とする説もある。
準体助詞自立語動詞の関係性を示し、付随した語とセットで名詞ようなものとする働きがある。から・ぞ・だけ・の・ばかりどこの馬の骨だ。
だけは許せない。
格助詞や副助詞からの転用、もしくは接尾語・形式名詞などとする説もある。
連体助詞名詞によって名詞を修飾する場合に付ける。彼氏
始発電車
格助詞とする説もある。
※「の」の解釈の所を参照
とりたて助詞さまざまな言葉に付随して、特別な意味を添える。※副助詞の欄を参照※副助詞の欄を参照副助詞の別名である。

【Q3】複合助詞とは?

複合助詞とは、複数の語がつながって助詞と同じような働きをもつ場合を指します。つながった全体を一語として助詞のような働きをする連語といってもいいでしょう。

複合助詞にはパターンが二つあります。一つ目は、実質的な意味を持つ語(動詞や名詞)がその意味を失って形態的に固定化したパターンです。たとえば下の太字のようなものが挙げられます。

仲間として見過ごせない。
鉄道マニアだけあって、詳しい。

もう一つは、助詞が複数つながって一語になったパターンです。こちらも下に例を挙げてみました。

言ったからにはやる。
期待されていただけに悔やませる。

なお「にて」や「ので」のように、複数の助詞がつながってできたにもかかわらず複合助詞には分類されないものもあります。例外のものはつながりが極めて強いもの、複合助詞といわれるのはつながりは弱いものとする説もあるようです。ただ、「あくまで相対的なものであって、助詞と複合助詞との間に明確な線を引けるようなものではない」(筑波大学名誉教授・砂川有里子)との解釈もあり、実用面では細かく考える必要性はないといえるでしょう。

助詞を使い分けよう

助詞の使い方

今回は「助詞」について考察しました。種類や働きを知れば、理解も深まり、文章の執筆力や読解力の向上につながったのではないでしょうか。何度も反復して着実に使い分けられるようになっていきましょう。

また今回は詳しい説明をしませんでしたが、係助詞「は」は文章をわかりやすくするために理解を深めたい助詞の一つです。係助詞「は」については、別記事で詳しく解説しているので、そちらもぜひ読んでみてください。