助詞一覧!格助詞・接続助詞・副助詞・終助詞など日本語における種類や助動詞との違いを紹介
文の構造を決める上で、重要な品詞が「助詞」です。黒子のような存在でありながら、正しく使わないと、文章のわかりやすさを損なうものといってもいいでしょう。日本語における助詞の種類や特徴を紹介します。
助詞とは?日本語における特徴や役割、助動詞との違いを確認
助詞とは、品詞の一つで、前後の文や単語の関係を表したり、文全体に意味を加えたりする単語です。「付属語」で、活用(あとに続く言葉や文中での働きで語形が変化すること)がないのが特徴といえます。
なお付属語とは、単独では意味を示せない・文節を作れない語句で、前にくる「自立語」(動詞・形容詞・形容動詞・名詞・連体詞・副詞・接続詞・感動詞)と合わせて使う言葉です。
助詞と助動詞の違いは「活用の有無」(助詞と助動詞の見分け方)
付属語には、助詞と助動詞があります。二つの区別の仕方を知りたい人もいるでしょう。活用がない方…つまり形の変わらない方が助詞です(活用があり、形が変わる方が助動詞)。
助詞と助動詞の見分け方を、例文を使って具体的に示してみましょう。
彼は努力家だ。
まずは、文節を区切ります。文節とは、意味が通じる範囲で分割した文の最小単位のことです。「ね」・「さ」・「よ」などを間に入れても意味が通じるように区切れるひとまとまりと学校で習った人も多いのではないでしょうか。下では「ね」を入れて文節を分けてみました。
彼は(ね) 努力家だ(ね)。
つづいて単語に分けてみましょう。単語は、文節を構成する「言葉の最小単位」です。スラッシュ(/)で単語を分けてみます。
彼/は 努力家/だ
単語まで分けられたら、自立語か付属語かを考えてみましょう。
彼・努力家:単独で意味を示せる・文節を作れる→自立語
は・だ:単独で意味を示せない・文節を作れない→付属語→助詞or助動詞
単独で意味が示せる・文節を作れるのは、「彼」と「努力家」で、二つは自立語です。二つとも名詞(用言)なので、わかりやすかったかもしれません。
残った「は」と「だ」は、単独では意味を示せない・文節を作れないので助詞か助動詞だと考えられます。活用があるか・ないかを、次は確認してみましょう。
だ:活用あり(活用によって形が変えられる)→助動詞
は:活用なし(活用によって形が変えられない)→助詞
※「だ」の活用は、下の表を参照
未然形 | だろ | 彼は努力家だろう。 |
連用形 | だっ・で | 彼は努力家だった。彼は努力家である。 |
終止形 | だ | 彼は努力家だ。 |
連体形 | (な) | 彼は努力家なので… |
仮定形 | なら | 彼は努力家なら(ば)… |
命令形 | – | – |
以上より、「だ」は活用があるので「助動詞」、「は」は活用がないので「助詞」と見分けられました。このような流れで助詞と助動詞は区別しましょう。
助詞の一覧表!表記別で確認!
基本がわかったところで、どのような助詞があるのかを確認してみましょう。まずは、「表記」(助詞各々)を軸にした一覧表をまとめてみました。
助詞 | 種類 | 働き | 例文 |
か | 終助詞 | 疑問・質問 | 何時ですか。 |
反語 (「決して〇〇ではない」の意味) | なぜあなたを忘れようか。 | ||
勧誘・依頼 | 出ましょうか。 | ||
感動 | やはり違いましたか。 | ||
問い詰め | なぜできないんですか。 | ||
副助詞 | 不確実 | どこかにしまったんだが。 | |
並立 | いいか悪いかよくわからない。 | ||
が | 格助詞 | 主語 | 友達が帰宅した。 |
連用修飾語 | 寿司が食べたい。 (対象) | ||
接続助詞 | 仮定の逆接 | 失敗しようが、関係ない。 | |
確定の逆接 | 薄着をしたが、まだ寒い。 | ||
単純接続(前置きなど) | 恐縮ですが、よろしくお願いします。 | ||
対比・対立 | 頭もいいが、顔もいい。 | ||
かしら | 終助詞 | 軽い疑問 | これは何かしら。 |
軽い願望 | お願いできないかしら。 | ||
感動 | なんておいしいのかしら。 | ||
から | 格助詞 | 連用修飾語 | お店から出る。 (起点) 大豆からできた。 (原料・材料) 冷えからくる病。 (原因・理由) |
接続助詞 | 確定の順接(原因・理由) | 疲れたから、寝よう。 | |
きり・ぎり | 副助詞 | 限定 | 昨年食事をしたきりだ。 |
くらい・ぐらい | 副助詞 | おおよその程度 | 一週間くらい欲しい。 |
おおよその限度 | 返事ぐらいしてよ。 | ||
けれど・けれども | 接続助詞 | 確定の逆接 | 米を研いだけれども、炊かなかった。 |
単純接続(前置きなど) | 前にも言ったけれど、僕は嫌いだ。 | ||
対比・対立 | 彼は金持ちだけれど、私も負けてない。 | ||
こそ | 副助詞 | 強調 | 今回こそ勝つ。 |
さ | 終助詞 | 軽い断定 | 失敗しても平気さ。 |
軽い質問 | いつ来たのさ。 | ||
さえ | 副助詞 | 添加 (「そのうえ」を文に補える) | 雷さえ鳴り出した。 |
限定 (「だけ」にいい換えられる) | 米さえあえば生きていける。 | ||
ほかの類推 (「でも」にいい換えられる) | 子どもにさえわかる。 | ||
し | 接続助詞 | 並立 | 仕事もするし、遊びもする。 |
しか | 副助詞 | 限定 | 嘘しかいわない。 |
ずつ | 副助詞 | 等しい割合 | 一人3枚ずつ。 |
すら | 副助詞 | ほかの類推 | 土日休みすらない。 |
ぞ | 終助詞 | 強調 | よし、行くぞ。 |
だけ | 副助詞 | 限定 | 君にだけ教えるね。 |
程度 | あれだけいったのに。 | ||
たり | 接続助詞 | 並立 | 肉を食べたり、魚を食べたりする。 |
例示 | 映画を見たりして過ごす。 | ||
つつ | 接続助詞 | 確定の逆接 | 見ないと思いつつ、見る。 |
動作の並行 | 電話しつつ、勉強する。 | ||
て・で | 接続助詞 | 確定の順接 (原因・理由) | うるさくて、邪魔だ。 |
確定の逆接 | 方法を聞いて、やらない。 | ||
単純接続 | 会って、謝る。 | ||
並立 | お金持ちで、かっこいい。 | ||
補助 | きれいな花が咲いている。 | ||
で | 格助詞 | 連用修飾語 | 家で練習する。 (場所) 22時で閉店する。 (時限) チャリで来た。 (手段・材料) 風邪で休む。 (原因・理由) |
ても・でも | 接続助詞 | 仮定の逆接 | 100人乗っても、大丈夫。 |
確定の逆接 | 呼んでも、来ない。 | ||
でも | 副助詞 | ほかの類推 (「だって」にいい換えられる) | 誰でもわかる。 |
例示 (「など」「くらい」にいい換えられる) | お茶でもどうですか? | ||
と | 格助詞 | 連用修飾語 | 父と遊ぶ。 (共同の相手) フリーランスとなった。 (結果) 恩師と会う。 (対象) 彼と違う。 (比較) 日本は狭いと書いてあった。 (引用) |
並立 | 仕事と家事の両立。 | ||
接続助詞 | 仮定の順接 | 儲かると、みんなやる。 | |
確定の順接 | 小声でいうと、聞こえにくい。 | ||
仮定の逆接 | 失敗しようと、関係ない。 | ||
単純接続(前置きなど) | 本音をいうと、怖かった。 | ||
とか | 副助詞 | 不確実 | 日本株が上がるとか聞いた。 |
並立 | こことかあそことかがいい。 | ||
ところで | 接続助詞 | 仮定の逆接 | 教えたところで、身につかない。 |
とも | 接続助詞 | 仮定の逆接 | 裏切られようとも、大したことはない。 |
終助詞 | 強調・確信 | 勝てるとも。 | |
な | 終助詞 | 禁止 | 無理をするな。 |
命令 | たくさん食べな。 | ||
な・なぁ | 終助詞 | 感動 | すごい技だな。 |
願望 | 遊びに行きたいな。 | ||
念押し | 異論はないな。 | ||
ながら | 接続助詞 | 確定の逆接 | 聞いておきながら、やらない。 |
動作の並行 | 電話しながら、勉強する。 | ||
など | 副助詞 | 例示 | 冷蔵庫や洗濯機などが欲しい。 |
強調 (否定の意味の言葉が後に続く) | 脱税などしていません。 | ||
なり | 副助詞 | 直後の動作 | 帰るなり寝た。 |
例示 | 上着なり着てください。 | ||
並立 | 煮るなり焼くなりしろ。 | ||
に | 格助詞 | 連用修飾語 | 9時に起きる。 (時間) 現地に集まる。 (場所) ゴールに到着する。 (帰着点) 部下に任せる。 (動作の相手) 飲みに行く。 (動作の目的) 苦さに悶絶する。 (原因・理由) 兄に比べて低い。 (比較の基準) 横に並ぶ。 (状態) 失敗に終わる。 (結果) |
並立 | 仕事に恋に充実している。 | ||
ね・ねぇ | 終助詞 | 感動 | きれいな星だね。 |
念押し | 必ず勝ってね。 | ||
問いかけ | 元気かね。 | ||
語調を整える | 今日ね、こんなことがあったんだ。 | ||
の | 格助詞 | 連体修飾語 | 会社の備品。 (所属) 都会の生活。 (場所) 12月の半ば。 (時) 雨模様の空。 (状態) |
並立 | やるのやらないのと迫られる。 | ||
部分の主語 | たんぽぽの咲く季節が来た。 | ||
体言の代用 | 走るのが好き。 | ||
終助詞 | 質問 | これ、どうやるの。 | |
軽い断定 | ここは静かなの。 | ||
軽い命令 | 図書館では静かにするの。 | ||
ので | 接続助詞 | 確定の順接 (原因・理由) | 早起きしたので、余裕が持てた。 |
のに | 接続助詞 | 確定の逆接 | 知らないのに、知ったかぶりをする。 |
終助詞 | 強調 | 喜んでほしかったのに。 | |
は | 副助詞 | ほかとの区別 | カレーは好きだ。 |
主題の提示 | 失敗は成功のもと。 | ||
反復 | 食っては寝る。 | ||
強調 | 嫌いではない。 | ||
ば | 接続助詞 | 仮定の順接 | 儲かれば、みんなやる。 |
確定の順接 | 朝になれば、電車が動き出す。 | ||
並立 | 勝ちもすれば、負けもする。※「〜ば、〜も」の形が基本 | ||
ばかり | 副助詞 | 限定 | 遊んでばかりいる。 |
完了直後 | 終わったばかりだ。 | ||
おおよその程度 | 1kmばかり歩く。 | ||
へ | 格助詞 | 連用修飾語 | 東へ向かう。 (方向) 学校へ行く。 (帰着点) 家族へ電話をかける。 (対象) |
ほど | 副助詞 | おおよその程度 | 一週間ほど不在にする。 |
比較の基準 | 前ほどつらくない。 | ||
程度の比例 | がんばればがんばるほど結果が出る。 | ||
まで | 副助詞 | 程度・限定 | 練習の成果を出すまでだ。 |
添加 | 雨まで降り始めた。 | ||
動作・作用の終点 | ゴールまで走りきった。 | ||
ほかの類推 | 老人にまで知られている。 | ||
も | 副助詞 | 強調 | 何回も試す。 |
並立 | 子どもも大人も一緒にいる。 | ||
添加 | 上着も着る。 | ||
おおよその程度 | 一週間もあれば十分。 | ||
ほかの暗示 | 計算も得意。 | ||
ものの | 接続助詞 | 確定の逆接 | 走ったものの、乗り遅れた。 |
や | 格助詞 | 並立 | 大阪や京都を回る。 |
終助詞 | 呼びかけ | ポチや、おいで。 | |
感動 | これはすごいや。 | ||
勧誘 | ゆっくり行こうや。 | ||
やら | 副助詞 | 不確実 | 誰やら来たかしら。 |
並立 | 肉やら魚やらを焼いた。 | ||
よ | 終助詞 | 念押し | 期限は明日中だよ。 |
勧誘 | 早くやろうよ。 | ||
命令 | さっさとやれよ。 | ||
呼びかけ | 少年よ、大志を抱け。 | ||
感動 | なんと美しいことよ。 | ||
より | 格助詞 | 連用修飾語 | 花より団子。 (比較) 東京駅より出発する。 (起点) 謝るよりほかない。 (限定) |
わ | 終助詞 | 感動 | きれいだわ。 |
軽い主張 | 相談してみるわ。 | ||
を | 格助詞 | 連用修飾語 | ジュースを買った。 (対象) 県をまたぐ。 (場所) 大学を卒業する。 (起点) 北を見る。 (方向) |
参考:『チャート式®シリーズ 中学国語 文法・漢字・古典・読解』(数研出版)
助詞の働きを、種類ごとに確認しよう
つづいて、「種類」を軸にして助詞を分類・考察してみましょう。ここでは、実用面で理解したい以下の4種類に絞って考察します。
格助詞 | 名詞・代名詞・数詞など体言の後に付き、続く文節との関係を表す。 |
接続助詞 | 「活用語」(用言および助動詞)の後ろに付いて、前後の文節をつなぐ。 |
副助詞 | 特定の品詞に限らずいろいろな語に意味を付け足す。 |
終助詞 | 文末に付いて、情報伝達の態度やさまざまな意味を表す。 |
ほかにも細かい分類(並列助詞・係助詞・間投助詞・準体助詞)をする場合もあります。そちらは後述するQ&Aのところを参考にしてみてください。
助詞の種類【1】格助詞
名詞・代名詞・数詞など体言の後ろに付き、あとに続く文節との関係を示す言葉です。
働き | 格助詞 | 例文 |
動作主(いわゆる主語)を示す | が・の | 冬が来た。 |
連体修飾語を示す | の | 仕事用の写真。 |
連用修飾語を示す | を・に・へ・と・より・から・で | ネット記事を読む。 |
並立の関係を示す | の・に・と・や | 君と僕。 |
使い方は一般的に下記の四つに分けられます。
■動作主(いわゆる主語)「が」・「の」
助詞の中でも「が」・「の」には、文の動作主(いわゆる主語)や主題を示す働きがあります。
冬が来た。
雪の降るころだ。
「雪の降るころだ」の「の」は、「雪が降るころだ」と「が」に置き換えられます。そのため「が」と同様に、「の」も動作主(いわゆる主語)や主題を示す助詞と考えられるのです。
■連体修飾語「の」
あとに続く体言(名詞)を修飾する連体修飾語であることを示す働きがあります。
日本語の勉強
上の文では、「の」がすぐ後ろにある体言「勉強」を「日本語の」が修飾しています。何の「勉強」なのかを示す働きを果たしているのが解釈できるのではないでしょうか。
■連用修飾語「を」・「に」・「へ」・「と」・「より」・「から」・「で」
用言(動詞・形容詞・形容動詞)を修飾する連用修飾語を作る働きがあります。
日本語を勉強する。 ライターになる。
「を」・「に」が、すぐ後ろの用言「勉強する」および「なる」を修飾し、何を「勉強する」のか・何に「なる」のかを示しているのがわかるでしょうか。「へ」・「より」・「から」・「で」の例も確認してみましょう。
本屋へ向かう。 読書よりライティングの方が好きだ。 彼との関係は、異業種交流会での名刺交換から始まった。 カフェで仕事をする。
各助詞の後ろにある用言に対し、場所・目的・比較対象などの意味を補足している点を確認してみてください。
■並立「の」・「に」・「と」・「や」
「と」や「や」などの助詞は、前後の単語が意味的・文法的に対等で並べられていることを表します。
新聞や雑誌がオンラインで読める。 新聞と雑誌を読む。
「雑誌」と「新聞」の順序を入れ替えても、それぞれの関係は変わらずに対等なのがわかります。並立の格助詞「の」は、たとえば以下のように使われます。
辞めるの、辞めないのと結論を追求する。
上の例文も、「辞めないの、辞めるのと結論を追求する」と順序を入れ替えても並立の関係は変わりません。
以上が、格助詞の“一般的”な四つの分類です。
■補足:格助詞の覚え方
上に書いた10個が格助詞の代表例です(「や」を含まない場合もあります)。学校の国語の授業では、語呂合わせで格助詞を暗記する方法が教えられています。いくつか例をまとめました。参考にしてみてください。
を・に・が・と・より・で・から・の・へ・や 「鬼が戸より出、カラ(空)の部屋」
を・に・より・と・の・が・へ・や・から・で 「鬼より殿が部屋から出」
と・の・より・の・へ・や・から・を・に・が・で 「殿寄りの部屋から鬼が出」
や・から・の・を・に・と・より・へ・が・で 「やからの鬼 戸より屁が出」
※「や」を含まない場合
を・に・の・へ・が・と・から・で・より 「鬼の屁が戸から出より」
■補足:「の」の解釈
テキストや学派によって「の」の解釈が異なっている点を補足します。たとえば「体言の代用をする格助詞」と呼ばれる五つ目の分類を推す意見があります。「書く“の”を辞める」や「私が欲しい“の”はあなた」の「の」など、「こと」や「もの」で置き換えられる「の」のことです。
また、「の」をそもそも格助詞としないとする意見もあります。発信者によって棲み分けの仕方に諸説あるため、テキストをお持ちの人はぜひ調べてご自身でも研究してみてください。
助詞の種類【2】接続助詞
「活用語」(用言および助動詞)の後ろに付いて、前後の文節をつなぐ助詞です。
働き | 接続助詞 | 例文 | |
仮定の順接 | 仮定の事柄に対し、当然予想される順当な事柄があとに続くことを表す。 | ば・と | 雨が降れば、キャンプは中止だ。 |
仮定の逆接 | 仮定の事柄に対し、予想されることと逆の事柄があとに続くことを表す。 | と・ても(でも)・とも・ところで・が | 雨が降っても、キャンプに行く。 |
確定の順接 | 事実や確実な事柄に対し、当然予想される順当な事柄があとに続くことを表す。 | ば・と・ので・から・て(で) | 暑いから、上着を脱いだ。 |
確定の逆接 | 事実や確実な事柄に対し、予想されることと逆の事柄があとに続くことを表す。 | ても(でも)・けれど(けれども)・ものの・が・のに・て(で)・ながら・つつ | 暑いけれど、上着を脱がない。 |
並立の関係 | 前後の文節が意味的・文法的に対等で並べられていることを表す。 | ば・て(で)・し・たり(だり) | 兄は聡明だし、堅実だ。 |
単純な接続 | 前の事柄が、あとの事柄の前置きなどであることを表す。 | と・けれど(けれども)・が・て(で) | 次のキャンプだが、彼女も来られることになった。 |
補助の関係 | あとの文節が前の文節に補助的な意味を添えていることを表す。 | て(で) | 試しに呼んでみる。 |
仕事の場面では、ここまで細かく理解・使い分ける必要はないかもしれません。実用面で理解したいポイント三つを見ていきましょう。
■順接
順接の接続助詞には、前にある文節の流れのままで、順当な事柄を表す文節が続くことを示す働きがあります。
コンセントがなければ充電ができない。 コンセントがないので充電ができない。
例文の共通点は、接続助詞「ば」と「ので」により、「コンセントがない(なかった)」だけで文を終わっていないことです。あとに続く「充電ができない(なかった)」へ、つなげる役割を果たしているのが確認できます。
■逆接
逆接の接続助詞は、前にあるのとは異なる・順当ではない事柄の文節が続くことを示します。
雨は降らないと彼はいったが、午後から雨は降った。 雨が降ったけれど、降ってないと彼はいい張っている。
一覧表にもあったとおり、順接や並立の場合にも逆接の接続助詞を使えるケースはあります。しかし、接続助詞の前後で反対(矛盾・対立)の内容が入っていない場合、逆接の接続助詞を使わない(順接の接続助詞を使う)方が望ましいとされています。
なぜかというと、逆接の表現があると「ここまでの流れとは反する記述が登場する」と読者に予測させやすいからです。「筆者の言いたいことは逆接の後に書いている」と、“目印”にするように国語の授業でいわれて、意識的に見る癖が付いている人もいるのではないでしょうか。
それぐらい逆接(の接続助詞)には強い作用があるため、注意して使わなければなりません。逆接の接続助詞があったのに、順接や並立の文が続くと、予想と反することになります。そのため誤解につながりかねないのです。
逆接の接続助詞を書きたくなったら、接続詞「しかし」でつないでみて違和感がないかを確認してみるのをおすすめします。違和感がない場合のみに限って使うとよいでしょう。
■並立
意味的・文法的に対等な文節が前後に並ぶことを示す働きが並立の接続助詞にはあります。
キャンプも行ったし、サウナも行った。 料理をしながら動画を観る。 笑ったり泣いたりと忙しい人だ。 このあとは打ち上げですが、出席しますか。
上の最後にある「が」の例文こそ、逆接のところで注意喚起した“非逆接的“な(つまり並列の)使い方です。
「が」や「けれど(けれども)」は、先に紹介した逆接の印象が強い接続助詞(逆接を連想させやすい)といわれます。そのため、「が」や「けれど(けれども)」にも並立の役割はありはするものの、ほかの並立の助詞で書き換えた方が意図を的確に伝えていいでしょう。
また、最後の例文にあるとおり、並立の「たり」は二回以上使うのが文法的に正しいです。逆にいえば一回だけ使うのは文法的に正しくないとされてきました。
しかし最近は、一回しか書かれていない場合も許容されつつあります。Wordの校正機能でも指摘が入るほどの基本事項なので、基本を押さえつつメディアやクライアントの意見も聞いて推敲できるとよいでしょう。
助詞の種類【3】副助詞
特定の品詞に限らず、いろいろな語に意味を付け足すのが副助詞です。
意味 | 副助詞 | 例文 |
強調 | は・も・こそ・など | 今日こそ勝つ。 |
並立 | も・なり・やら・か・とか | うまくもないしまずくもない。 |
添加 | も・され・まで | おまけももらえた。 |
おおよその程度 | も・ばかり・ほど・くらい(ぐらい) | 一週間ほどかかる。 |
ほかを類推させる | すら・さえ・でも・まで | 電話したことすらない。 |
限定 | さえ・まで・しか・だけ・きり(ぎり)・ばかり | 寝てばかりいる。 |
例示 | でも・など・なり | 手や足などが腫れた。 |
不確実 | やら・か・とか | 何やら不穏な気配がする。 |
一覧表を見てもらえばわかるとおり、副助詞は種類が豊富です。上に書いた以外にもまだまだあります。
しかも、参考書『チャート式®シリーズ 中学国語 文法・漢字・古典・読解』(数研出版)にならって今回はひとくくりにして(中学生の学習範囲に留めて)いるものの中には、もっと細かい意味で区分けができるものもあるほどです。実用面で重要な「は」・「こそ」・「も」・「さえ」の使い方を今回は紹介します。
■副助詞「は」の三つの意味
副助詞「は」には、「区別」・「強調」・「繰り返し」の三つの意味があります。
キャンプは好きだ。 (区別)
「キャンプは」の「は」は、キャンプ以外と区別する意味があります。たとえば「サウナは嫌いだが、キャンプは好きだ」とするとわかりやすいでしょう。
キャンプ好きとは思えない。 (強調)
副助詞「は」を入れると、「キャンプ好きと思えない」よりも、「キャンプ好き」を強く否定している(「キャンプ好きと」を強調している)ように感じられるのではないでしょうか。
もう酒は飲まないといっては飲んでいる。 (繰り返し)
繰り返している(「酒は飲まない」と“何度も”いっている)との意味を付け足しているのを確認してみてください。
■副助詞「こそ」
「こそ」は、より限定的な強調の意味をあらわす副助詞です。「は」の強調と比較しながら見てみましょう。
キャンプこそアウトドアだ。
「キャンプは(が)アウトドアだ」としても強調の意味は伝えられるものの、「こそ」の方が主張が強く伝えられているのではないでしょうか。
■副助詞「も」の三つの意味
副助詞「も」は、「同類」・「強調」・「並立」の三つの意味を付加します。
料理も得意だ。 (同類)
「料理以外にも得意なものがある」という意味を付け足しているのが読み取れます。
夕食ができるまで2時間もかかった。 (強調)
「夕食ができるまで2時間かかった」よりも、2時間を強調して長く感じさせる効果が出ています。
キャンプも料理も好きだ。 (並立)
どちらも同じくらい好きだという意味を加えているのが確認できるでしょうか。
助詞の種類【4】終助詞
文末に付いて、情報伝達の態度やさまざまな意味を表す役割が終助詞にはあります。
意味 | 終助詞 | 例文 |
疑問・質問 | か・かしら・の・さ・ね | 家はどこですか。 |
反語 | か | 貯金を使い果たしてもいいのだろうか。 |
勧誘 | か・や・よ | 食事に行こうよ。 |
感動 | か・かしら・ね(ねえ)・な(なあ)・わ・や・よ | 夜景がきれいだなあ。 |
断定 | の・さ | 簡単なことさ。 |
命令・禁止 | の・よ・な | 危ないから近づくな。 |
念押し | ね(ねえ)・な(なあ)・よ | 資料を作っておいてね。 |
呼びかけ | や・よ | 少年よ、大志を抱け。 |
強調 | ぞ・とも・のに | 雪が降ってきたぞ。 |
■疑問・質問と反語の使い分け
終助詞でとくに注意したいのが、疑問・質問と反語の使い分けです。
元気ですか。 正しいの。 どこに行こうね。 食べていいかしら。
疑問・質問の例文を上に書いてみました。あとに「?」が付くとわかりやすいかもしれません。
下が反語の例文です。
休んでばかりでよいのだろうか。
疑問・質問と同じ形をとってはいるものの、疑問文ではありません。主張したい内容と反対の意味を強く示すための表現技法です。
疑問文では直後にその答えが書かれます。しかし、反語の場合は書かれません。「いや、よくない」とあとに続けるとわかりやすくはなるものの、そもそも反語表現をした意味がなくなってしまいます。最初から、「休んでばかりではよくない」と書いた方が親切です。反語をあえて使う意図を考えながら書いていくようにしましょう。
助詞に関するQ&A
助詞についてまだまだ疑問点があるかもしれません。記事の流れで説明しきれなかった点をQ&Aでまとめました。参考にしてみてください。
【Q1】接続詞と接続助詞の違いは?
接続詞と接続助詞の違いは、単独で文節を作れるか否かで考えられます。
紹介したとおり助詞は、付属語であって単独では文節を作れないものです。接続助詞も該当します。反対に接続詞は、単体で文節を作れます。その点に着目して区別するのがわかりやすいでしょう。
おなかが減ったのでカレーを食べた。
おなかが減った。だからカレーを食べた。
文節を区切ってみましょう。
おなかが/減ったので/カレーを/食べた。
おなかが/減った。/だから/カレーを/食べた。
上側の例文を見てください。「ので」は「減った」とつながらないと文節を作れていません。下側の例文では、「だから」だけで文節が作れています。よって「ので」は接続助詞、「だから」は接続助詞と区別できました。
【Q2】実用的な4つの助詞以外の助詞の意味と例は?
さきほど紹介した4つ以外にも「〇〇助詞」はあります。参考までにまとめてみました。
種類 | 意味・役割 | 助詞 | 例文 | 補足 |
並列助詞 | 複数の語を対等な関係性で結ぶ。 | か・し・だの・と・とか・なり・に・も・や・やら | 煮るなり焼くなり好きにしろ。 夕食は、カレーに唐揚げにピザだ。 | 格助詞・副助詞・接続助詞・係助詞から多くが転用されたものである。 |
係助詞 | 述語とその主(いわゆる主語)の関係性を示す・強調する。 | こそ・しか・だって・でも・は・ほか・も | 彼こそスターだ。 もう試すほかない。 | 副助詞に含めて語られる場合がある。 |
間投助詞 | 文中や文末の語に付いて、語調を整えたり、意味を添えたりする。 | さ・な・なぁ・ね・ねぇ・や・よ・を | 君だよ、君。 彼はすごいねぇ。 | 終助詞や感動助詞とする説もある。 |
準体助詞 | 自立語動詞の関係性を示し、付随した語とセットで名詞ようなものとする働きがある。 | から・ぞ・だけ・の・ばかり | どこぞの馬の骨だ。 彼だけは許せない。 | 格助詞や副助詞からの転用、もしくは接尾語・形式名詞などとする説もある。 |
連体助詞 | 名詞によって名詞を修飾する場合に付ける。 | の | 私の彼氏 始発の電車 | 格助詞とする説もある。 ※「の」の解釈の所を参照 |
とりたて助詞 | さまざまな言葉に付随して、特別な意味を添える。 | ※副助詞の欄を参照 | ※副助詞の欄を参照 | 副助詞の別名である。 |
【Q3】複合助詞とは?
複合助詞とは、複数の語がつながって助詞と同じような働きをもつ場合を指します。つながった全体を一語として助詞のような働きをする連語といってもいいでしょう。
複合助詞にはパターンが二つあります。一つ目は、実質的な意味を持つ語(動詞や名詞)がその意味を失って形態的に固定化したパターンです。たとえば下の太字のようなものが挙げられます。
仲間として見過ごせない。
鉄道マニアだけあって、詳しい。
もう一つは、助詞が複数つながって一語になったパターンです。こちらも下に例を挙げてみました。
言ったからにはやる。
期待されていただけに悔やませる。
なお「にて」や「ので」のように、複数の助詞がつながってできたにもかかわらず複合助詞には分類されないものもあります。例外のものはつながりが極めて強いもの、複合助詞といわれるのはつながりは弱いものとする説もあるようです。ただ、「あくまで相対的なものであって、助詞と複合助詞との間に明確な線を引けるようなものではない」(筑波大学名誉教授・砂川有里子)との解釈もあり、実用面では細かく考える必要性はないといえるでしょう。
助詞を使い分けよう
今回は「助詞」について考察しました。種類や働きを知れば、理解も深まり、文章の執筆力や読解力の向上につながったのではないでしょうか。何度も反復して着実に使い分けられるようになっていきましょう。
また今回は詳しい説明をしませんでしたが、係助詞「は」は文章をわかりやすくするために理解を深めたい助詞の一つです。係助詞「は」については、別記事で詳しく解説しているので、そちらもぜひ読んでみてください。
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