中点「・」とは?使い方・読み方・意味など国語の授業で習わない実用面まで解説

中点「・」とは?使い方・読み方・意味など国語の授業で習わない実用面まで解説

中点「・」を使いこなせると、文章がわかりやすくできます。ただ、さまざまな使い方が中点にはあり、あなたも悩んでいるところではないでしょうか。おそらく、学校の国語の授業でも中点の使い方については詳しく教えていないはずです。教科書的な基本と合わせ、実用的な中点の使い方を確認していきしょう。

中点「・」とは?読み方や意味を確認

中点「・」は、文章記号(約物・符号)の一つです。日本語の場合、「なかてん」「なかぽつ」と読むほか、「中黒(なかぐろ)」や「黒丸(くろまる)」などの呼称もあります。

“中点連結定理”で知られるように、「ちゅうてん」と読ませて数学で使用されるケースもメジャーでしょう。化学式の結合を示す記号や乗数記号としての用法もあります。

日本語の文章作成における中点の意味や用法は、以下の五つが主といえるでしょう。のちほど、それぞれ詳しく考察していきます。

  • 固有名詞
  • 並列
  • 同格
  • 漢数字での表記(日付・小数)
  • 箇条書き

中点「・」と読点「、」の違い

読点「、」と中点の使い分けに悩んでいる人も多いのではないでしょうか。「ナカテンの代りにテンをうつこともある」と文化庁も紹介しており、どちらを使っても問題がない場合が大半ではあります。

ただし同じく文化庁は、「テンとナカテンとを併用して、その対照的効果をねらふこと」の利点も紹介しています。中点と読点の使い分けによって、文章の質(おもしろさ・わかりやすさ・読みやすさ)の向上が図れるのです。

下のような違いを意識し、中点と読点を使い分けるのがいいでしょう。

中点:独立性を保ちつつ、一対もしくは一体として、複数の言葉(単語や句)を連結的に書く・並べる場合に使う。

読点:言葉の間に打ち、「言葉の区切り」や「思想の最小単位を示す」を示す。

ネイビープロジェクトでは、『日本語の作文技術』(朝日新聞出版)などにまとめられている本多勝一氏のメソッドを基にした中点や読点の使い方を推奨しています。

本多氏は、読点の厳密な使い分けを提唱しており、読点が不用意に打たれることに否定的です。原則に則って正しく打たれた読点とそうでない読点が混同し、文章をわかりにくくしてしまうからです。

下記に引用したように、読点でなくてもいいところには中点を使うのがよいとしています。

ナカテン(・)については、最もよく使われているのは外国語の固有名詞であろう。[中略]しかし、この符号はあとで述べるテン(読点)と区別する上でも、たとえば並列や同格の語のあいだにどんどん使うほうが論理としてわかりやすいだろう。

『日本語の作文技術』(本多勝一,朝日新聞出版)

本多氏が提唱する読点の使い方については、別記事で詳しくまとめています。下記からぜひ読んでみてください。

中点「・」の使い方【1】:固有名詞

つづいて、さきほど紹介した「中点の使い方」五つを詳しく考察していきたいと思います。まずは「固有名詞」です。

ジョニー・デップ 人の名前

バーチャル・リアリティ カタカナ語

サグラダ・ファミリア もの(建築物)の名称

クルンテープ・マハーナコーン・アモーンラッタナコーシン・マヒンタラーユッタヤー・マハーディロック・ポップ・ノッパラット・ラーチャタニーブリーロム・ウドムラーチャニウェートマハーサターン・アモーンピマーン・アワターンサティット・サッカタッティヤウィサヌカムプラシット 地名(タイの首都であるバンコクの正式名称)

中点が使われる固有名詞を並べてみました。

何かを区切る役割をいずれも中点が果たしているのが確認できるでしょう。たとえば「ジョニー・デップ」のような外国人の名前の場合は、ファーストネーム・ミドルネーム・ラストネームなどを区切るのに中点が使われています。

また日本人の名前でも、『朝日新聞の用語の手引[改訂新版]』(朝日新聞出版)では、「人名の読み仮名で、姓と名の間に入れる」中点の用法を紹介しています。

伊藤 述史(いとう・のぶふみ)

『朝日新聞の用語の手引[改訂新版]』(朝日新聞出版)

上の例では、漢字表記で使っていたスペースの代わりに、ひらがな表記(読み仮名)のときには中点を入れています。

外国語表記をカタカナ表記に変えた際にも、同じ点が指摘可能です。外国語表記と比較すると、単語の区切りを示す半角スペースの代わりに中点が使われているのが確認できるでしょう
(すべての半角スペースが中点に代わるわけではありません。公式のページや冊子で、固有名詞は表記を確認してから記載するのをオススメします)。

ジョニー・デップ Johnny Depp(本名:John Christopher "Johnny" Depp II)

バーチャル・リアリティ Virtual Reality

サグラダ・ファミリア Sagrada Família (正式名称:Temple Expiatori de la Sagrada Familia)

クルンテープ・マハーナコーン・アモーンラッタナコーシン・マヒンタラーユッタヤー・マハーディロック・ポップ・ノッパラット・ラーチャタニーブリーロム・ウドムラーチャニウェートマハーサターン・アモーンピマーン・アワターンサティット・サッカタッティヤウィサヌカムプラシット Krungthepmahanakhon Amonrattanakosin Mahintharayutthaya Mahadilokphop Noppharatratchathaniburirom Udomratchaniwetmahasathan Amonphimanawatansathit Sakkathattiyawitsanukamprasit (タイ語表記:กรุงเทพมหานคร อมรรัตนโกสินทร์ มหินทรายุธยา มหาดิลกภพ นพรัตนราชธานีบูรีรมย์ อุดมราชนิเวศน์มหาสถาน อมรพิมานอวตารสถิต สักกะทัตติยวิษณุกรรมประสิทธิ์ )

中点「・」の使い方【2】:並列

味玉・チャーシュー・白ネギ・メンマを添えて完成です。

上は、ラーメンのトッピングを説明した文です。中点で並んでいる「味玉・チャーシュー・白ネギ・メンマ」は、ラーメンのトッピングである点が意味的な共通点といえます。四つとも名詞であるため、品詞も共通しています。このように何かしらの共通点がある言葉を並列させるときに中点を使う方法があります。

固有名詞を三つ以上並べる場合

ジョニー・デップ・アンジェリーナ・ジョリー・ブラット・ピット・ペネロペ・クルスの4人が出演する映画。

読点とだけでなく、中点同士の使い分けにも注意が必要です。使い方や役割が違う中点が混ざると、文がわかりにくくなってしまいます。

すでに紹介した「固有名詞」と「並列」それぞれの中点を混ぜて、上の例文は書いてみました。この場合は、二重ハイフンを使う下記のような表記が『日本語の作文技術』では勧められています。歴史の教科書や地図などで二重ハイフンが使われている例もあるようです。

ジョニー゠デップ・アンジェリーナ゠ジョリー・ブラット゠ピット・ペネロペ゠クルスの4人が出演する映画。

ただなかには、二重ハイフンを使うのに抵抗がある人もいるのではないでしょうか。

下記のように、固有名詞には中点を使ったまま、スラッシュで並列を示す方法もネイビープロジェクトでは採用しています。

ジョニー・デップ/アンジェリーナ・ジョリー/ブラット・ピット/ペネロペ・クルスの4人が出演する映画。

構文上の論理としての中点「・」

リサーチしたなかには、中点を使うのは“単語”を並列する場合のみがいいとする文献もありました(下記参照)。

「ナカテンは、単語の並列の間にうつ」(文化庁)

「単語の列記には中点を使ってよい」(『記者ハンドブック 新聞用語集 第14版』,共同通信社)

「中点は、同格の単語を並べるときや、判読しやすくするために使う」(『朝日新聞の用語の手引[改訂新版]』,朝日新聞出版)

ただネイビープロジェクトでは、『日本語の作文技術』にしたがって、より広い用途で中点を使うことを推奨しています。「構文上の論理としてのナカテンの用法」と『日本語の作文技術』で紹介されているとおり、単語以外を並列させるときにも中点を使うケースが珍しくありません。

報道は、いつ・どこで・誰が(何が)・どのようにして・なぜ起きたかを書くのが常識とされている。

『日本語の作文技術』(本多勝一,朝日新聞出版)

上の例文では、単語(いつ・なぜ)・句(どこで・誰が)・節(どのようにして)が、「起きたか」の修飾語として中点で並列されています
(「誰が…起きたか」は日本語的に変な表現ではあるものの、構造的な話の例なので、細かい言及は避けます)。

なぜかというと、すでに紹介したとおり、読点と中点の使い分けによって違いを明確にするためです。特に例文では、「報道は」のあとにある読点と、中点を意識的に区別している(違いを鮮明にしている)のが視覚的にもわかりやすいです。違う言葉(品詞)が並列しているので、文法的には誤りといえるかもしれませんが、上の例文を読んでも違和感はないのではないでしょうか。

逆に、すべてを読点にすると下のようになります。

報道は、いつ、どこで、誰が(何が)、どのようにして、なぜ起きたかを書くのが常識とされている。

こちらの例文では、文化庁がいう「テンとナカテンとを併用して、その対照的効果をねらふこと」ができていません。教科書的・学術的に考えるならばともかく、わかりやすさの面では先の例文の方が優れているといえるでしょう。

中点「・」の使い方【3】:同格

世界の歌姫・マドンナの邸宅。

つづいて「同格」の例文を書いてみました。

同格の場合は、中点を挟んで「=」の関係性が成り立ちます。「世界の歌姫」が「マドンナ」の説明をしているような関係と考えてもいいかもしれません。

「マドンナ」とただ単に書かれても、世界には多くの“マドンナ”がいます。そのため、「どのマドンナ?」となるところを、「世界の歌姫・」を付けて説明・限定しているのです。不特定な名詞を特定・限定・定義するための役割を同格の中点は果たしているといってもいいでしょう。

同格とほかの役割の中点「・」が混在する場合

ハリウッドスター・ジョニー・デップ・アンジェリーナ・ジョリーが主演する映画。

上のような中点の使い方も、可能ではあります。しかし、固有名詞(外国人の名前)・同格・並列の中点が混在し、一見しただけでは意味がわからない(「主演」が誰か・何人かの判断が難しい)文になっています。俳優の名前に詳しくない人には呪文のように見えたでしょう。

           ジョニー・デップ
 ハリウッドスター=       &               が主演する映画。
                            アンジェリーナ・ジョリー

固有名詞は“そのまま”が大事なので手を加えずに、並列は「&」に・同格は「=」に書き換えて分解してみました。

「ハリウッドスター」のあとが同格、「ジョニー・デップ」と「アンジェリーナ・ジョリー」を上下に挟んで間にあるのが並列の中点だとイメージできたでしょうか。

ただ、&はともかく、=は文章で使いたくないと思われる人も多いかもしれません。しかも、中点のままでは意味がわかりにくい。

そこで、わかりやすさを向上させるために中点を使わない方法も紹介します。下の例文のように、違う言葉で代用すれば、並列や同格が明確に示せるのでオススメです。

並列の中点→「と」「や」「および」「また」などの接続詞や接続助詞で代用

同格の中点→「である」や「として知られる」などの動詞で代用

ハリウッドスターであるジョニー・デップおよびアンジェリーナ・ジョリーが主演する映画。

中点「・」の使い方【4】:漢数字での表記(日付・小数)

漢数字での表記をする場合、下記のように中点を使う場合もあります。

日付:令和五・十・一二(令和5年10月12日の意味) 五・一五事件
(「9・11テロ」と算用数字の表記で月日を省略するときに中点を使う場合も) 
小数点(特に縦書き):五・二三(5.23の意味)

中点「・」の使い方【5】:箇条書き

本記事内でも使ってきたとおり、箇条書きの行頭記号としての使い方も中点にはあります。

厳密にいえば、「ビュレット」と呼ばれる別の記号「•」ではあるものの、点の大きさの違いだけであり、なおかつ環境依存文字であるため、中点で代用される場合が珍しくありません。

・固有名詞
・並列
・同格
・漢数字での表記(日付・小数)
・箇条書き

中点「・」の使い方【6】:省略符号

東京・神田駅前

『記者ハンドブック 新聞用語集 第14版』(共同通信社)

上の例文のように、何かを省略したときの目印として中点を使う用法が『記者ハンドブック 新聞用語集 第14版』に紹介されています。

『朝日新聞の用語の手引[改訂新版]』には、「全国的に有名な地区名を、都市名に続けるときに使う」とあり、「東京・銀座」や「大阪・中之島」が例に挙げられていました。このような表記も散見されはするでしょう。

ただしこの用法は、慎重に使うのがいいかもしれません。たとえば、都・府・県を省略するならば「北海道」の“道”も省略するのか(「北海」と書いてわかるのか)の検討が必要になります。

「東京・銀座」を略さず書くと「東京都中央区銀座」ですが、同じようにすると「岩手県二戸市福岡」は「岩手・福岡」と書かなければなりません。さらに「佐賀県佐賀市」のように、省略すると都道府県・市区町村かが判断できなくなる場合もあります。

省略は情報を削る作業であり、わかりやすさ・読みやすさまで削ぐ可能性もあるのです。そのため省略記号としての中点には注意喚起をしていきたいと考えています。

中点「・」の使い方が文章のわかりやすさにつながる

さまざまな文献を基に、中点「・」の使い方を今回まとめてみました。

教科書的・一般的な内容を押さえつつ、『日本語の作文技術』をベースに、広い(本多氏の考えにやや依存した)方法でネイビープロジェクトでは中点を使っています。教科書的な正しさよりも、読んでくれる人に「わかりやすい文章」を提供するために最善な方法だと考えているからです。

さまざまな使い方があるので、より「わかりやすい」中点の使い方をケースバイケースで検討するように努めたいと考えています。