まで/までに…違いは?含む・含まないや日本語における意味・使い方を確認

まで/までに…違いは?含む・含まないや日本語における意味・使い方を確認

「まで」と「までに」、意識して使い分けていますか? 間違えやすい助詞として、注意喚起されている言葉です。「まで」と「までに」の意味や使い方、それぞれの違いをチェックしましょう。

「まで」とは?意味や使い方を確認

「まで」は、副助詞(特定の品詞に限らず、さまざまな語に意味を付け足す働きを果たす助詞)の一つで、「動作の到達点」や「距離や時間に関する範囲または期間(限度)」を表すときに使います。

「まで」の後には、継続的・連続的な動作を示す動詞が続くのが特徴です。「動作動詞」の中でも「継続動詞」と呼ばれるものです。動作がいつ・どこまで継続するのか。つまり動作の“終わりの点”を示す副詞節を作るときに「まで」が使われるといえます。

「まで」の使い方を例文で確認

例文で確認してみましょう。【】で囲って副助詞の働きを文末に記載したので、併せてチェックしてみてください。
(なお副助詞が示す働きの表し方は諸説あります。そのため細かくは言及しない点を了承いただきたいです)

(1)朝から晩まで記事を書く。【期間】

(2)正午まで待つ。【期間(限度・締切)】

(3)駅まで歩こう。【到達点】

(1)には、「晩まで」による終点に加えて、「朝から」によって始点も書かれています。“いつから・いつまで”の「期間」が示されているのが明らかです。

(2)では、「正午まで」と、動作の終わりの点が示されています。「待つ」を続ける期間の終わりの点なので、“限度”や“締切”と呼んでもいいでしょう。

最後の(3)は、「歩く」を続ける範囲の終わりの点なので、“到達点”(“ゴール”や“目的地”)を示しているといえます。

「〇日まで」は、当日を含む?含まない?

「まで」の働きを調べてみると、「〇〇まで」と書いたときに「〇〇」を含むのか・含まないのかを確かめたくて検索をしている人が多いとわかりました。

ライターのあなたには、原稿の締切を設定されたとき、たとえば「6月28日まで」といわれる機会があるでしょう。このとき“当日を含む(6月28日が終わるまで)”なのか、“当日は含まない(6月27日が終わるまで)”なのかで認識のズレが生じる場合があります。

言葉どおりの意味では、前者の“当日を含む(6月28日が終わるまで)”という解釈が正しいとされています。ただ認識のズレで、“当日は含まない”つもりで相手が伝えている可能性がある点に注意が必要なのです。ギリギリになりそうな場合は、細かく確認しておくのがいいでしょう。また自分が相手に対して締切を設定する場合には「6月26日18:00まで」と時刻まで書くと、認識がズレる心配が減らせるかもしれません。

もう一つは、ビジネスマナーとして一般的な終業時刻までと捉えるのが望ましい点です。かりに“当日を含む”つもりで相手が伝えてきていたとしても、大体17〜18時頃を締切と考えておくのがいいでしょう。

「添加」の意味を「まで」が付け加える

副助詞「まで」には、「添加」の意味を加える働きもあります。「まで」の前に書かれている内容を、後に続く動詞に添える働きです。前に書かれている言葉を伴って副詞節を作り、後に続く動詞を修飾する働きといってもいいでしょう。

明日の仕事まで終わらせた。

上の例文では、「明日の仕事」と「まで」がセットになって述語の「終わらせた」にかかっています。(文の登場人物は)今日の仕事だけでいいのに、明日の分まで終わらせたようです。その“+α”のニュアンスを説明するときに「まで」が活きてきます。先に説明した“終わりの点”のニュアンスとは違う点を意識して使えるとよいでしょう。

「までに」とは?意味や使い方を確認

「までに」は、さきほど紹介した副助詞「まで」と、対象・場所・時間などを示す格助詞「に」がセットになった連語です。場所や時間を表す言葉を伴い、後に続く動詞(動作動詞の中でも「瞬間動詞」)が示す動作の終点(最終期限・締切・限度など)を表します。

使い方は、たとえば下のようなものです。ここでも、「までに」が示している働きを【】で囲って文末に記載したので、併せてチェックしてみてください。
(なお、助詞が示す働きの表し方は諸説あるものの、細かくは言及しない点をここでもお詫びします)。

(a)正午までに記事を書く。  【まで:期間(範囲)】【に:時間】
(b)駅(に着く)までに電話する。  【まで:到達点・範囲】【に:場所】

 (a)では、「正午」と「までに」による副詞節が、述語「書く」にかかって時間的な終点(期限・締切)を示しています。

(b)では、「駅まで」という到着地および「駅(に着く)まで」という期間や範囲を、「電話する」の終点として明確化する働きを「までに」が果たしていると解釈ができるでしょう。瞬間動詞が示す“短時間で終わる動作”を完了させるゴールを、「までに」より前の副詞節によって明確化しているといってもいいでしょう。

「まで」と「までに」の違い

「まで」と「までに」の違いは、簡単にいうと二つ挙げられます。

■「まで」は継続動詞を、「までに」は瞬間動詞を修飾する副詞節を作る

■「までに」には「に」が有るが、「まで」には無い

継続動詞と瞬間動詞とは?

継続動詞と瞬間動詞とは、下記のようなものです。

継続動詞:一度きりで、継続性が無い出来事・動作・行為を表す
瞬間動詞:一定期間の継続性・連続性が有る出来事・動作・行為を表す

見分けるときには、「〜している」の形(テ形+いる)に変えてみましょう。動作が継続しているように読める場合は「継続動詞」、動作が終わっているように読める場合は「瞬間動詞」と判断できます。

※継続動詞の例※
遊ぶ・泳ぐ→遊んでいる・泳いでいる→動作が続いているように読める
※瞬間動詞の例※
座る・入る→座っている・入っている→それぞれの動作は終わっているように読める

なお動詞にはほかにも、「状態動詞」や「第四種の動詞」と呼ばれる分類があります。日本語文法の授業などで学ぶ場合は必要な知識かもしれません。ただ本ブログでは、ライターが押さえておくべき実用的な情報に絞って考察をしています。そのため、これ以上の詳しい説明は、別のサイトやページに譲りたいと思います。

「に」の有無による、「まで」と「までに」の違い

こちらは、ライターも詳しく押さえておきたい点です。例文を使って確認してみましょう。 (文から読み取れる潜在的なニュアンスを[]で囲って書いてみました)

(Ⅰ)来週まで記事を書く。
[「来週まで」は「記事を書く」を継続していなければならない]。

(Ⅱ)来週までに記事を書く。
[「記事を書く」を完了すれば、「来週」の前であっても「記事を書く」を止めてもいい(継続していなくてもかまわない)]。

「書く」は、継続動詞と瞬間動詞両方の性質を持っています。継続動詞と瞬間動詞でそれぞれ違うものを使ってしまい、「動詞が違うから意味の違いがあるのか?」と感じるのを防ぐためです。

ここからは、「に」の有無による違いだけを考察してみましょう。まず(Ⅰ)のような「まで」は、期間の終わりの点を単に示すだけです。物理的・距離的・時間的な“線の終わり”を示す以上の働きを持ち合わせていません。

「“線の終わり”を示す以上の働き」とは、「点としての“終わり”を示す働き」とでもいえるでしょう。その「点としての“終わり”の働き」を果たすために、「まで」に「に」をつけた連語「までに」が用いられると考えられます。

(Ⅱ)にある「来週までに」は、過去・現在・未来と連なる時間軸(線)において“来週まで”という明確な点(期限)を示す働きをしています。「までに」の方が“点”にフォーカスしたニュアンスを含んでいるのです。「到達点」の解釈が「まで」にもありはしますが、“点”をより強調できるのは「までに」の特長といえるでしょう。

「まで」と「までに」は正しく使い分けよう

助詞の中でも、間違いやすい「まで」と「までに」にフォーカスした考察を今回しました。細かい指摘ばかりではあるものの、わかりやすさを追求する上で押さえておきたい知識ではあります。丁寧にチェックしながら執筆していくようにしましょう。

なお助詞は種類が多く、働きや意味合いもさまざまです。本ブログでも、専用にまとめた記事を別で用意しています。下記のリンクから読んでみてください。