段落の分け方!小論文・作文・小説の場合と、Webライティングでの違いは?

段落の分け方!小論文・作文・小説の場合と、Webライティングでの違いは?

テーマが変わるのを読者にわかりやすくするために「段落」を分けるのが一般的です。“ここでテーマが変わりますよ”と伝える目印といってもいいでしょう。小論文・作文・小説はもちろん、Webライティングではどのように段落分けを行えばいいのか、望ましい段落の分け方を考察しました。

段落とは?字下げの方法や、意味段落・形式段落の違いもチェック

段落分け

段落とは、同じ内容で区切られた文章のまとまりや、同じ思想表現の文章の塊を指す言葉です。そのため段落を変えるのは、文章のテーマを変えるときだけに限るのが望ましいとされています。

段落の役割は、同じ内容で文章を一まとまりに区切ることで、文章全体の論理や構成を明快にすることといえます。一定量の文字数がある原稿で、書き手の意図を読み手にしっかり伝えるためには、段落を適切に分けることが重要です。

段落分けの目安「字下げ」(インデント)とは?

段落を分けるときには、目印として「字下げ」が行われるケースがあります。字下げとは、行頭に空白(全角スペース)を設けて、ほかの行よりも文の開始位置を下げる表記のことです。「インデント」とも呼ばれています。

字下げについて説明しよう。……
 このように、字下げとは……

字下げの目的は、区切った位置を見やすくし、内容の切れ目を明確にすることです。上のような表記を行います。

形式段落と意味段落

「形式段落」と「意味段落」の2種類があると国語の授業などで習った人も多いのではないでしょうか。それぞれの違いを確認しておきましょう。

形式段落:文の最初に字下げがして段落 ※メディアによっては行わない場合も
意味段落:意味・流れ・内容が同じで、ひとまとまりにできる段落

上は、別記事から作ったスクリーンショット画像です。本ブログでは字下げを行っていないのでわかりにくいかもしれませんが、上の画像にもあるように、意味段落(赤)でみれば1つ、形式段落(水色)でみれば3つのまとまりで文章をまとめています。

形式段落を「小段落」・意味段落を「大段落」とも呼ぶように、大小の段落によって文章にメリハリが生まれているのがイメージできるのではないでしょうか。

段落の分け方のポイント

段落を分けるときのポイントも改めて整理しておきましょう。下の2点を注意してみてください。

■話題の変わり目で段落を分ける

紹介したとおり段落分けは、“ここでテーマが変わりますよ”と伝える目印として行います。逆にいえば、テーマを変えたくないところでは段落分けを行わない方が望ましいです。読むときの目印である段落分けが、意図しないところで機能してしまうと、誤解を招きかねません。形式段落で細かく書いていきながら、テーマを変えた方がよさそうなときには、段落(意味段落)を分けるようにしましょう。

■一段落につきテーマは一つに絞る

上と似ていますが、一段落に書くのはテーマ一つまでです。違うテーマについて書くときは、段落を分けてください。形式段落レベルでとくに該当するポイントで、たとえ一文が短くてまとまりが悪くなっても、テーマが変わるときは段落を分けた方が視覚的な読みやすさが向上します。

原稿や掲載先の種類による段落の分け方の違い

さきほど軽く触れたとおり、本ブログでは字下げをしていません。理由は、Webに掲載する原稿だからです。原稿や掲載先に応じて、段落分けや字下げは使い分けるのが望ましいとされています。原稿や掲載先ごとでの段落分けの違いを確認してみましょう。

Webライティング

Webライティングでは、段落分けは行うものの、字下げをしないケースが多々あります。

字下げに頼らずとも、段落分けや単に改行を行えば、文の切れ目を明確にできるからです。原稿用紙のように文字数や記述欄に制限があるわけではないため、改行や段落分けを多用しやすいのもWebの特長といえます。

字下げを行おうという話が後から出てきても、パソコンで作成した原稿は調整が簡単です。そのため、字下げをする・しないよりは、段落分けをしっかり行うことを意識しましょう。

作文

作文の場合は、原稿用紙に執筆する機会が多いかもしれません。原稿用紙に書く場合は、段落の分け目をわかりやすくするために、字下げを行うのが一般的です。

またWebライティングのように空白行を入れるのは、好ましくないといわれています。1枚400文字と、文字数を数えやすくするために原稿用紙が用いられている面があり、空白行によって数えにくくなるのを避けるためというのが理由として考えられます。

あとは、かっこ「」を付けて会話文を表現するときには行を変えるのが一般的です。地の文が途中で切れて空白マスができても問題ありません。注意点としては、変わった次の行の一マス目にかっこ開き「を書くことが挙げられます。原稿用紙であっても、会話文を書く場合は字下げをする必要はありません。

そしてかっこ閉じ」で会話文を終了したときも、行を変えます。かっこ「」によって、会話文をそれぞれ独立させるのです。また空白マスができますが、気にしないでください。変わった次の行の一マス目から、地の文の続きを書きましょう。字下げはしなくてもかまいません。

小論文・レポート

小論文やレポートでも、字下げを行うのが基本といわれています。原稿用紙に書く場合は、上の「作文」と同じような考え方で、空白行の使い方に注意が必要です。

また書き方がある程度固定化されており、「PREP法」と呼ばれる“結論[Point]→理由[Reason]→具体例[Example]→結論[Point]”の構成でまとめるのが定番とされています。各パートをまたぐときに意味段落を意識して段落を分けるのはもちろん、同じテーマ(形式段落)の中では段落分けや改行をしないことが重要です。

小説

小説は、かなり自由度の高い文章といってもいいでしょう。論理展開よりも、おもしろさを重視した芸術作品な面があるからです。作文・小論文・Webライティングと同様に形式段落や意味段落でまとまりを作って、話の内容を理解しやすくするのも問題はないでしょう。場面転換や視点切り替えのときに、目印として段落を分けるのが効果的かもしれません。

ただ、“あえて”の読みにくさ・わかりにくさが許容される文章でもあります。おもしろければOKなわけです。段落分けを細かく行って、独特のリズムを作るのも表現の一つといえるでしょう。ご自身で考えるなり、編集者などと検討するなりして、おもしろさがしっかり伝わる表現を探ってみてください。

段落と章や文との違いは?Wordのときの概念も解説

段落の分け方を一通りまとめましたが、基本情報をもう少し知りたい人がいるかもしれません。似たような言葉があるため、辞書的な意味合いを確認したい人もいるでしょう。下にまとめてみたので、参考にしてみてください。

段落と似た言葉

文章を分けると、「章→段落→文」の大きさで分割できます。それぞれの特徴を下にまとめてみました。

文章:いくつかの文の集合体。記事や作文なども文章と呼べる。
章(チャプター):記事や作文の中で、最も大きな思想や内容の括り。
段落(パラグラフ):文章や章の中で、同じ意味や内容ごとに改行して分けたまとまり。
文(センテンス):段落を句点で区切った最初の思想のまとまり。

(ほかにも「部」「節」「項」「目」「単語」などの分け方が存在します。本記事では言及しないので、詳しく知りたい人はご自身で調べてみてください)

段落分けと改行の違い

とくに解説せずに進めてきましたが、「段落分け」とは文章中に改行を入れて段落を変えることをいいます。

なかには、改行との区別がいまいちできていない人がいるかもしれません。違いは下のとおりです。

段落:文章を同じ内容のまとまりで区切ること。
改行:意味や内容にかかわらず文を区切り、行を変えること。

Wordにおける段落と行の違い

「段落」と「行」は、Word(Microsoft Word)などのライティング用ソフトでは、原稿用紙とは違う意味合いで使われます。

Wordにおける「行」は、内容や区切りなどに関係なく、横に並んだ文字列の1行分を指します。つまり、書き始めから句点で区切られる文の終わりまでの一まとまりではないのです。

上に、段落と行を説明するための図を載せました。段落(意味段落)は、水色の四角で囲った「段落(1)〜(3)」です。これはWordでも原稿用紙でも同じような扱いなので、理解しやすいのではないでしょうか。

問題は「行」です。原稿用紙における行は、赤い四角で囲った部分です。対するWordにおける行は、緑色の四角で囲った部分です。句点で文が区切れていなくても、上のような横並びの文字列1組を行とWordでは呼びます。

※横書きの場合は「行」ですが、縦書きの場合は「列」と呼びます。

段落分けを適切に行うために、構成案を作ろう

段落分け

段落分けを適切に行う上で重要なのは、執筆前に構成案を作ることです。

構成案は、執筆の筋道であり、文章全体で書きたいメッセージをブレずにまとめるための設計図といってもいいでしょう。むしろ段落だけでなく、章を適切に分ける意味でも、構成案が果たす役割は大きいと考えられます。構成案のまとめ方を紹介します。

本多勝一流の構成案の作り方

本ブログの執筆に当たって参考文献にしている『日本語の作文技術』(本多勝一,朝日新聞出版)で紹介されているルポルタージュの作り方をまず紹介します。著者の本多氏は、取材後の執筆前に以下の作業をしているそうです。

(1) 章[大項目]の構築:カードなどを使って、目次を作るつもりで内容に沿った章を立てる。
(2) (1)で作ったカードに具体的な内容をメモ:章で書く内容を具体的に書き出す。
(3) カード制作後、内容が足らないと感じたら再取材

章の具体的な内容を(2)で書き出す際に、カテゴリー分けも本多氏は行っていると思われます。なお本多氏の方法で構成案を作る際、(2)の次に以下の手順を追加してもいいかもしれません。

(2’) 書き出したメモを内容ごとに分類する

(2’)の作業を丁寧に行えば、段落の土台作りにもなるでしょう。「(1) 章[大項目]の構築」に対して(2’)は、「中項目の構築」といっていいかもしれません。

「マインドマップ」を活用して構成案を作る方法

本多氏のようにカード(紙)を使ってもいいですし、構成案作成にツールを活用する方法もあります。

本ブログの執筆に当たって使っているのは「マインドマップ」です。項目ごとにカードを作成していく作業がパソコン上でできるツールです。記事のタイトル・章・段落分け以降の内容まで、データや情報の整理をするときに役立ちます。

段落分け

マインドマップを使うと、視覚的に構成をイメージしやすくなり、情報整理が効率的にできる利点があります。多くの会社がマインドマップのサービスを提供しており、制作できるマップの数やストレージ容量に違いがあるので、ぜひ数社を比較するのがオススメです。

Webライティングでの「適度な段落分け」には諸説あり

Webライティングでは適度な段落分けが読みやすさにつながるといわれています。Webライティングでは字下げをせずに、適度な量を書いたら段落分けをして読みやすさを担保するのが一般的ともいえるでしょう。

では、「適度な量」とはどの程度でしょうか。実は「適度な量」は諸説あります。「2〜4文程度」とする人や「5〜6行」とする人もいます。明確な決まりがあるわけではありません。

なお本多氏は、“文章が長くなったから”との理由で安易に行われる段落分けや改行に異を唱えています。やはり役割を理解した上で、明確な意図をもって改行や段落分けは行うべきだと本多氏はいいます。

もちろん、どちらが絶対的に正しいわけではありません。本多氏のメソッドは文章術として一流ではあるものの、Webの場合を想定して書かれたものではない点に留意が必要です。『日本語の作文技術』が書かれたのは1982年ごろなので、現在の状況を鑑みると意見も変わってくるのではないかと考えています。

以上から、「文章を同じ内容のまとまりで区切ること」をまずは意識しながらも、「Webライティングは適度に段落分けをする」点にも気を配り、適度に段落分けができる文章になるように構成作りや執筆を行うのがいいのではないでしょうか。

段落分けを考えて、わかりやすく文をまとめよう

段落分け

文章の論理を明確にする上で、段落分けが重要である点を紹介しました。文章を読みやすくできる・読み手が内容を整理しやすくなるのが段落のメリットです。デメリットにつながらないように、構成案を作ったり考えたりしながら段落分けを行いましょう。

また原稿用紙の場合とWebライティングにおける場合の違いもいくつか紹介しました。「学校ではこのように習った」と固執せず、自分が書く媒体に合わせた柔軟な書き分けができるように努めていってください。