かっこ(括弧)の使い方・ルール!種類・読み方・使い分け・句読点との絡みなど基本まとめ

かっこ(括弧)の使い方・ルール!種類・読み方・使い分け・句読点との絡みなど基本まとめ

かっこ(括弧)とは、文章や数式を書くときに、全体もしくは部分を囲ってほかとの区別や付帯関係を示すための記号である。さまざまな種類があり、使い方に迷うのもうなずける。かっこをどのように使えばいいのか、種類や読み方などの基本事項と一緒に今回まとめたい。

かっこ(括弧)の種類と読み方(名前)を確認

かっこには多くの種類がある。代表的なかっことその読み方をまとめてみた。

( )    丸かっこ・パーレン・小かっこ
「 」    かぎかっこ・かぎ・ひっかけ
『 』    二重かぎかっこ
″″・" "    ひげかっこ・ちょんちょんかっこ・ダブルミニュート
{ }    波かっこ・中かっこ・ブレース
[ ]    角かっこ・大かっこ・ブラケット
〔 〕    亀甲かっこ
【 】    隅付きかっこ
〈 〉    山かっこ・山パーレン・ギュメ
《 》    二重山かっこ・二重山パーレン・ダブルギュメ
‘ ’          クオーテーションマーク
“ ”         ダブルクオーテーションマーク

スマホの辞書を開くと、デザイン性の高いかわいい・かっこいいかっこが多く存在しているとわかる。私的な文章については特に言及しないが、仕事で作成する文章では特異なかっこは使用を控えた方が無難かもしれない。のちほど紹介するが、環境依存文字・機種依存文字と呼ばれるかっこが中にはあり、「文字化け」の恐れがあるからだ。“よい”とされているかっこがあるので、併せて以下で記載する。

かっこ(括弧)の基本的な使い方

かっこ・括弧

かっこの基本的な使い方を確認しよう。

かっこ(括弧)の基本的な使い方【1】:二つで一対にする

代表例をまとめた箇所で載せたとおり、始まりのかっこ(かっこ開き・始めかっこ・左かっこ)と終わりのかっこ(かっこ閉じ・終わりかっこ・右かっこ)の“二つで一対”でかっこは使われる。どちらか片方だけを使う(片方のかっこを書かない)ケースはあまりない。二つで一対とし、始まりのかっこを書いたら終わりのかっこを書くのが基本だ。

かっこ(括弧)の基本的な使い方【2】:始まりと終わりで種類をそろえる

【1】ともリンクする点として、始まりと終わりのかっこは種類をそろえる点にも注意喚起をしたい。かっこは、ほかとの区別を示すための記号だ。そのため“ここからここまで”を正しく・明快に示せなければならない。始まりと終わりで違うかっこが使われると、始まりはともかく、終わりがどこまでかの区別・判断できなくなるのだ。ひげかっこ” “やダブルクオーテーション“ ”は特に、執筆時にそろっていない(校正アシスト機能によって勝手に変わっている)場合があるので、校正のときに注意して確認したい。

かっこ(括弧)の基本的な使い方【3】:かっこの内側には違う種類を使う

かっこの内側にかっこを入れる場合は、種類を変える必要がある。同じ種類を使ってしまうと、内側と外側の区別がつかなくなるからだ。たとえばかぎかっこ「」の中に二重かっこ『』を入れたり、数式では大・中・小の順で[ ]→{ }→( )で書いたりする。

かっこ(括弧)の基本的な使い方【4】:全角と半角に注意する

パソコンで原稿制作をされている人が大半だと考えられる。全角と半角の切り替えがパソコンでは可能で、かっこもどちらかが選択可能だ。具体的には、かな入力をしていると全角、ローマ字入力をしていると半角でかっこも入力されるはずである。

なお二つの考え方を下に挙げたものの、全角と半角のどちらがいいのかは諸説あり、ケースバイケースだ。下の二つを参考にするとともに、掲出媒体によっては表記ルールでどちらかが定めてある場合があるので、担当者や編集者に確認して全角か半角かを選ぶのがオススメである。

■デザインの観点でいえば半角

丸かっこを例にすると、全角()の方が半角()よりも余白が大きく見える。そのためデザインの観点で、半角の方が間延びせずにいいとする考え方がある。ただ、PhotoshopやIllustratorなどを使ってデザインをする際には、文字の間隔をそれぞれ細かく調整するのが一般的だ。WordPressなどのCMSに直接書き込んでそのまま公開するなど、デザインソフトで文字間隔の調整をしない場合は全角と半角の検討をするのがよいだろう。

■文字化けの観点でいえば全角

デジタルデバイスで閲覧する・Webに掲載する原稿を制作する場合は、文字化けへの配慮が必要である。文字の中には、特定の環境でしか正しく表示されない文字「環境依存文字・機種依存文字」が存在する。仮に自分のデバイス上で正しく表示できたとしても、デバイスやOSの違いによって文字化けを起こす場合があるのだ。

かっこに関していえば、半角カタカナが環境依存文字として知られている。半角カタカナのかっこを原稿に入れていると文字化けするかもしれない。避けるために、かっこ(もしくはすべての記号)を全角で統一した方がいいとする考え方がある。

かっこ(括弧)の基本的な使い方【5】:表記やシーンを統一する(表記ゆれに注意)

かっこに限らず、すべての言葉や記号で使い方を統一すべきである。違ういい方をすると「表記ゆれ」を避けるべきなのだ。【4】で挙げた全角・半角も一つで、表記ルールを作ってそれに従うのが正攻法である。

かっこの場合はとくに、あとで紹介する「シーン」の使い分けを統一するのも重要だ。あるところでは「」なのに、違うところでは()を使っている……ような使い方は、わかりにくさにつながるため避けなければならない。

かっこ(括弧)の基本的な使い方【6】:前後の句読点に注意する

かっこの使い方で悩むのが、句点。や読点、が前後にくる場合である。今回は、『記者ハンドブック 第14版』(共同通信社)に紹介されている使い方をまとめておく。ただ、以下の使い方もあくまでサンプルだ。担当者や編集者に相談の上で、表記ルールを作るのをオススメする。

※「」の例

■かっこがある文で段落全体を構成する場合→終わりのかっこのあとに句読点は打たない。

「これ以上一緒にいてもお互いのためにならない」
彼の本音がポロリと口からこぼれた。
彼女は何もいえなかった。

■終わりのかっこが段落の最後にある場合→終わりのかっこのあとには句点を打たない。

彼の本音がポロリと口からこぼれた。「これ以上一緒にいてもお互いのためにならない」
彼女は何もいえなかった。

■始まりのかっこの直前に語句(動詞や助詞)がある場合→[句点]段落の最後であっても、終わりのかっこのあとに句点を打つ(「と述べた」などの述語が省略されているため)。[読点]始まりのかっこの直前に読点は打たない。

彼はポツリと「これ以上一緒にいてもお互いのためにならない」。
彼女は何もいえなかった。

※()の例

■部分的な注釈のあと→終わりのかっこのあとに句点を打つ。

2023年上半期における日本の消費者物価指数が4%を超えた(速報値)。

■文章全体に対する注釈・筆者名・クレジットなどを書く場合→始まりのかっこの前にだけ句点を打つ。

彼が残した日記の全文は以下のものだ。(原文のまま)

■座談会や対談の記事で情景描写をする場合→終わりのかっこが段落の終わりにきたときは直前に、文中のときは直後に句点を打つ。

佐藤:この企画は素晴らしい。(一同、安堵の表情を浮かべる)
それはあなたの感想ではないですか?(と冷たい視線を向ける)。根拠となるデータを示してください。

かっこ(括弧)を使うシーン5つを確認

基本的な使い方が確認できたところで、どのようなシーンでかっこを使えばいいのかを考察したい。以下の五つのシーンで使ってみよう。

かっこ(括弧)を使うシーン【1】:会話表現・セリフ

会話表現やセリフなどをかぎかっこで囲うシーンは一般的だろう。会話文の始めと終わりにかぎかっこ「」を書けばいい。

「今日はかぎかっこの使い方を勉強します」と先生が言った。

なお会話文の中に会話文を入れる場合は、先にも紹介したとおり、かぎかっこ「」の中に二重かぎかっこ『』を入れる書き方が用いられる。

「『かぎかっこの使い方を今日は勉強する』と先生は言っていたよ」と鈴木くんがいった。

かっこ(括弧)を使うシーン【2】:書名・作品名・Webページ名

書名や作品名などを紹介するときは二重かぎかっこ『』を使う。著者名・出版社名・出版年・版数・ページ数などを丸かっこ()で囲って続ける場合もある。

『日本語の作文技術』(本多勝一,朝日新聞出版)

Webの場合は、ページのタイトルを二重かぎかっこ『』で囲ったのち、サイトや管理者の名称などを丸かっこ()に入れ、URLも示すような書き方ができる。なおURLをかっこで囲うと、かっこ(終わりのかっこ)まで含むのかとコンピュータが解釈し、リンク先が正しく表示されない場合がある。避けるために、かっこで囲わずにURLは改行して書くのをオススメする。

『〇〇〇ポータルサイト』(〇〇〇省)
https://www.〇〇〇.go.jp/

かっこ(括弧)を使うシーン【3】:強調

一部分を強調したり、読者に注目させたりするためのアクセントの役割でもかっこは用いられる。本記事でもすでに、かぎかっこ「」やひげかっこ” “を使って強調したい部分を囲ってきた。たとえばすべてをかぎかっこ「」にしてもいいのだが、かっこには多くの種類があるので、使い分けて強調の程度の違いを表してみるのもよいだろう(本記事では、基本的な強調はかぎかっこ「」を使い、それほど強い強調をしたくない場合・ちょっとした強調をしたい場合にはひげかっこ” “を使っている)。

かっこ(括弧)を使うシーン【4】:引用

原文のある文章を引用する場合は、引用元に書いてあるままで記載するのを厳守しよう。引用した文章を勝手に変更してはいけない。最悪の場合、権利侵害に受け取られる可能性もある。引用部分を明確にするために、かぎかっこ「」・二重かっこ『』・ひげかっこ” “で囲うのが『記者ハンドブック 第14版』(共同通信社)では勧められている。また【2】で紹介したように引用元の明記も合わせて行おう。

「精神的に向上心のないものは馬鹿だ」(『こころ』,夏目漱石)

かっこ(括弧)を使うシーン【5】:俗っぽい/皮肉っぽい言い回し・いわゆる・あえて

俗っぽさ・皮肉っぽさを表現する場合にもかっこは便利だ。『日本語の作文技術』では、ひげかっこ” “を使うのがいいとしている。「いわゆる〇〇」のようなときに、「”〇〇”」と書くのだ。

あと、正式でない表記や言葉づかいを書くときの目印としてかっこを使って区別できるようにするのも表現の一つだ。たとえば対話者が言い間違えたのをそのまま書く場合や、方言・なまりによって標準語とは違うように聞こえた場合などは、”あえて変えている”のを明確にするためにかっこで囲むとわかりやすいだろう。

かっこ(括弧)をしっかり使い分けて表記ゆれをなくそう

かっこの基本情報を今回まとめた。今回初めて知った情報もあるだろう。すべてを暗記して記載したとおりに使う必要はない。ただ途中でも書いたとおり、原稿全体や媒体全体で表記をそろえる(表記ゆれをなくす)のは重要だ。担当者や編集者とコミュニケーションを取りながら、表記ルールを整理して文章作成を行うようにしたい。