【キャスティング】「宣伝」は魔法の言葉

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キャストのギャランティを安くしようとしてこういう発言をする人がいます。

「〇〇さんの宣伝になるから……」

過去記事「モデルのギャラを安くする」でこちらの方法について簡単に紹介しました。確かに、この切り口でディスカウントをする場合もあります。しかし、簡単に口にしてしまうと信頼関係にもヒビが入りかけない危険な言葉です。今回はこの「宣伝」という言葉についてまとめたいと思います。

▼どういう時に安くなるの?

例えば、売り出し中のキャストが名前を売るためにかなり安い金額で仕事を受けるケースは宣伝の一環と捉えてもよいでしょう。テレビや映画などで言われる「バーター」として主役級を出す代わりにチョイ役で駆け出しのキャストが出演するというのはよくある話です。特にテレビなどは出ることによって経歴も経験値も増えるので、事務所としても出したがるというのはあるでしょう。

 

また、宣伝という観点からすると、バラエティー番組や毎日やっている帯番組などに立て続けて主役級がで出演して「今日〇時から××、初回放送です」のように番宣コメントをするというのも見られた人も多いでしょう。それによってテレビなら「視聴率」、映画なら「興行収入」や「観客動員数」に影響が出ますし、何より数字が伸びればその主演などは評価されて次に繋がるというのはあります。そのためキャスティングの段階から、ある程度の宣伝活動への協力も条件に入れて交渉します。

 

その要領で、「宣伝」という言葉を使ってのギャランティのディスカウントは弊社でもたまに行う手段です。特に、直近で告知したい内容がないかをヒアリングし、それを告知する代わりにギャランティを予算内に収めてほしいといった感じです。しかし、どんな案件でもその切り口が使えるわけではありません。

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▼「競合」という言葉でキャストは守られている

以前にあった案件で、大手家電メーカーが自社の流通インフラを使って通販サービスを開始するにあたり、タレントのオリジナルグッズを販売したいという相談を受けたことがあります。例えば直筆のサイン入りだったり、ここのサービスでしか買えないなどの付加価値をつけてファンの購買意欲を書き立てようという戦略です。その中で売り出し中のアイドルの肖像などをプリントした限定グッズを販売したいという要望が出ました。その際に担当者さんが「この商品を発売することで〇〇さんの宣伝になるから…」と前置きして、この時はかなり安価な条件を提示されました。

 

確かに、大手家電メーカーの流通インフラを駆使しての販売戦略なので宣伝効果がないとは言えません。また大手家電メーカーが仕事を委託したくなるようなキャストであるということでハクもつくでしょう。

 

しかし、アイドルやタレントなどの商材は肖像でありイメージです。商品がどんなによいものであろうとキャストの肖像を利用して付加価値を付けようと考える以上は正規な金額で契約せざるをえません。また大手企業であればあるほど、1度仕事をしてしまうと、その企業のイメージがキャストについてしまって、契約が終了した後であっても同業他社からオファーが来なくなるということが大いにしてあります。それを気にして「競合」という言葉を使って、条件の整理を行いながら事務所はキャストのイメージや価値を守っているのです。

 

そのため、この場合は通常の広告契約を前提にご検討いただきました。クライアントがどう言おうと広告契約は広告契約です。困るのはキャスト当人および事務所ですので、弊社でも中立な立場から宣伝やプロモーションで出演交渉をしていいかの精査は気を使っています。

▼◯◯がいないと安くなる!?

では、どういう時に「宣伝」という言葉を使ってギャランティのディスカウントに協力するかというと、”クライアントがいない”案件になります。お金を出す人は必ずいるので厳密には言葉を選ぶ必要がありますが、例えばイベントホール主催のワンデーイベントで内容もキャストに譲歩してくれる場合はディスカウントも非常にやりやすいです。自社で企画などを全てしている会社は予算も限られており、毎月毎月イベントをやっているようなところは企画もマンネリ化してきてキャスティングに依存したイベントをすることもしばしばでしょう。

 

そういった会社でイベントの企画運営などをされている方であれば、「宣伝」という言葉を使ってギャランティを抑えられれば、内容も埋まり、予算も安くなって、まさに一石二鳥になるでしょう。しかし、そんな条件が上手く噛み合うということはほとんどありません。おそらく、この記事を読んでいただいてるアナタも違う立場で仕事をされているんではないでしょうか。

 

どんなところにも協賛企業や関係各所まどとの絡みはあり、そこの顔色を伺いながらのお仕事をされている方ばかりです。「宣伝」という言葉はギャランティを安くする魔法の言葉ですが、上手く使いこなすのは難しい言葉です。特にディスカウントをされて喜ぶ事務所やキャストはいません(例に漏れず弊社もですが…)。

 

「宣伝」という言葉。これからも使い方をしっかり考えていこうと思います。

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